車の傷や家のひび割れを調べているあのひと、何してる?

2021.06.30 あのひと何してる?

損害保険調査員(そんがいほけんちょうさいん)

自動車や家といったモノに損害があったとき、事故などでケガをしたとき、損害保険に加入していると、被害の状況に合わせた金額で保険金が支払われるんだ。そこで、事故現場や被災地にいち早く駆けつけるのが損害保険調査員だよ。写真は、事故に遭った車の傷(上)と、地震に遭った家のひび割れ(下)を調査しているところだ。損害を早く正しく調べることが大切なんだって。(写真提供/三井住友海上火災保険株式会社)

事故や災害で受けた損害を調べて保険金の支払いを準備し、生活の再建をサポート


事故で車の損害や死傷者が出たときのほか、火災や台風、地震などによって建物や家財に損害が生じたときに、保険の契約者に対して、どの程度の損害が出たのかを調査して保険会社にレポートを提出するのが損害保険調査員です。


近年は大規模な自然災害が全国に発生していて、強風や水害、地震による建物などの被害が増加しています。


一方、生活の必需品となっている車の事故も絶えません。車同士がぶつかった自動車事故の場合は、契約者の車と相手の車にどの程度の損害が出たか、ケガをさせたかなどを調査します。事故車両を確認するときは、車体についた細かな傷を特殊なカメラで撮影して証拠を保存することも大切な仕事です。車に損害があれば修理工場や警察の交通課、ケガ人が出れば医師など、幅広い職種の人たちと関わります。


交渉で解決せずに民事裁判となれば弁護士とも協力し、主張する内容を考え、裁判を傍聴することもあります。特に交通事故は予期しないアクシデントであり、契約者は不安を抱え、事故の相手が感情的になることも。損害保険調査員は、病院の手続きや治療費のフォロー、仕事を休んでいる間の賠償、お見舞いなどをすみやかに行い、双方の関係がこじれないように努めます。契約者の誠意と損害保険調査員の誠実な対応が相手に伝われば、スムーズな解決が期待できます。

調査員は現場調査から戻ってレポートを作成。自動車事故の解決までは、早くて1カ月程、長ければ1~2年かかる。月間約30~40件ほどを受けつけ、1人で80~100件ほどの案件を抱える。

自動車事故では相手にケガをさせて多額の治療費を支払ったり、自然災害では避難所での生活を余儀なくされたりなど、契約者はこれまでの日常生活が一変します。少しでも早く保険金が出るように努めることは、日常生活への早期復帰の土台となり、自然災害にいたっては、被災地の早期復旧・復興にもつながります。

どうしたら損害保険調査員になれるの?


損害保険会社や、損害保険会社から委託されている調査会社に就職して経験を積みます。

協力/三井住友海上火災保険株式会社

取材・文/内藤綾子