しごとについての質問
「雑誌や漫画、本を作る人になりたいです。どんなことをしておくといいですか?」(12歳・女子)
清水克衛(しみずかつよし)さん
自分の「変わっている」ところを楽しもう
『虹の魔法のものがたり』
著者:吉田麻子
出版社:エイチエス
価格:1300円(税別)
ぼくの知り合いの漫画家さんや編集者、小説家の方々は本をよく読みます。そしてちょっと変わってます(笑)。変わっているというのは、世の中でいわれる「普通」とか「常識」というようなものを、簡単には信用しない、いやまずは疑ってみて自分で考え行動することができる人のことです。ですから、他の人がみると「変わってるなー」ということになるのです。
しかし、「変わっている」というのは言葉を換えれば「とてもユニーク」であるということです。『虹の魔法のものがたり』の主人公は14歳の女の子。雲や風に話しかけたり、虫や木にあいさつをしたりしていたら、友達が笑うだけでなくバカにされたりしてしまいます。そこからだんだんいじめに遭うようになってしまい、それを苦に、自殺しようと決心するのですが、その直後彼女は不思議な出来事に遭遇します。人はみんなと同じでないと不安を感じる生き物です。しかし、創造できる人は孤独を愛し、ユニークさを楽しめる人なのです。
人の長所、短所を善悪と決めつけないで
『人間百種百人百癖(にんげんひゃくしゅひゃくにんひゃくへき)』
著者:堀内新泉
出版社:国書刊行会
価格:1800円(税別)
よく自分の欠点を気にする人がいます。しかし、欠点はときに長所にもなり、長所が欠点になることもよくあることです。そういう見方を自在にできる人が、物事を創造する仕事には不可欠だろうと思います。『人間百種百人百癖』は、大正時代に出版され、大ベストセラーになった本で、癖のある人を100人観察し、ユーモアたっぷりに解説した本なのです。
「知らずに知ったふりをする人」「早合点をする人」「困りながら怠けている人」「常にため息をする人」「口先で物を言う人」「人の物を欲しがる人」「金持ちの真似をしたがる人」などの特徴やクセを紹介してくれています。
ぼくは、世の中にはいろいろな人が存在し、それぞれが違っているからこそ楽しい社会が出来上がっていると思っています。物事を作りだす人というのは、人間に興味を持って、どんな長所や欠点にも簡単に善悪を決めつけない。面白がってとらえることができることがとても重要だと思います。だから本に関わる仕事はとても面白いですよ。