しごとについての質問
「お母さんが家に来た修理の人と話しててびっくり。大人が知らない人ともにこやかに話せるのはなぜ?」(12歳・女子)
児玉ひろ美(こだまひろみ)さん
*JPIC(ジェイピック):一般社団法人 出版文化産業振興財団
あなただけでなく、半分以上の人たちが「コミュニケーションは苦手」
『ふるさとって呼んでもいいですか? 6歳で「移民」になった私の物語』
著者:ナディ
解説:山口元一
出版社:大月書店
価格:1600円(税別)
その気持ち、よくわかります。「自分には絶対無理!」って思われたのでしょう。初対面の人と何を話したらよいのかわからない、気まずいなど、コミュニケーションが苦手な人は多いようです。
文化庁の平成23年度「国語に関する世論調査」の「初めて会った人と話をすることについて、どのように感じるか」という問いかけでは「苦手である」は5割台半ば。「得意である」の4割強を上回っています。実はあなただけではなく、半分以上の人たちが「コミュニケーションは苦手」と感じているのです。
『ふるさとって呼んでもいいですか?』の著者ナディさんは6歳でイランから日本へ移住。イランで見た日本のテレビ番組はペルシャ語に吹き替えられていたので、日本語の存在すら知りませんでした。言葉も文化も違う日本で、両親が働いている昼間は幼い弟たちと3人。ナディさんの不安はさぞ大きかったでしょう。そこで彼女が身に着けた最初のコミュニケーション術は、「ニコッ」と「ペコリ」。人とすれ違ったらニコッと笑顔。ペコリとお辞儀。私たちがメールやSNSで使うアイコン(^.^)と<(_ _)>と同じですね!
本書はそんなナディさんが日本を「ふるさと」と思えるまでの日々をつづった記録です。全く知らない者同士が互いを理解し合うコミュニケーションの実践記でもあります。なんだか読んでみたくなりませんか?
言葉をつなげる、その繰り返しでコミュニケーションが楽しくなります
『マンガでおぼえるコミュニケーション』
著者:齋藤 孝
出版社:岩崎書店
価格:1100円(税別)
ナディさんの文章で、「知らないこと、違うことこそ、会話の糸口なんだ!」と気づくことができたものの、せっかく糸口を見つけた会話をどうやって続けていけば良いのか? ここでも「無理!」と思っていませんか?
『マンガでおぼえるコミュニケーション』は、具体的な会話のルールをマンガでわかりやすく85例、セリフ入りで紹介しています。「××ぜったいにダメな言い方」から「◎とってもいい言い方」まであり、マンガの表情を見れば、自分の気持ちに近い言葉を知ることができます。
著者の齋藤孝さんは「一番よくないのは『・・・・(無言)』。何も言わないこと。言葉をつなげることが大切」と考え、言い方や会話する双方の気持ち=コミュニケーションの基本も解説しています。
もし、あなたがこの本を読んで1つか2つでも「そうだな」と思えることがあれば、まねすることで会話のキャッチボールを始めてみてはいかがでしょう。最初は飛んでくるボールを両手で受け止めるだけでもよいのです。その繰り返しが、いつかきっと、キャッチボールを楽しいと感じ、コミュニケーションの海(社会)を上手に泳げる基礎となることでしょう。