英語ができれば世界中で仕事ができる?

2019.09.30 おしごとBOOK

しごとについての質問

「英語が得意です。国連の職員みたいに国際的な仕事をするにはどうしたらいいの?」(16歳・男子)

児玉ひろ美(こだまひろみ)さん

公共図書館司書、JPIC(出版文化産業振興財団)読書アドバイザーの官民両方の視線から子どもの読書推進活動を展開。幼稚園・保育園から中学生までを対象にしたお話し会、ブックトークの実践とともに、教員や一般成人への講座や講演も多数。鎌倉女子大学短期学部初等科教育学科非常勤講師。新渡戸文化短期大学生活学科非常勤講師。小学館集英社プロダクション教育アドバイザー。

本のタイトル通り、紛争の最前線で活躍する国連職員がいます


『危機の現場に立つ』

著者:中満 泉

出版社:講談社

価格:1400円(税別)

「英語が得意」と言いきれるあなたは、既に世界の扉を開ける鍵を一つ持っているのと同じこと、仕事の選択肢は世界中にあるといっても過言ではないでしょう。
『危機の現場に立つ』の著者・中満泉さんは、世界を舞台に活躍する国連職員です。そのポジションは軍縮担当事務次長・上級代表。職場は紛争地最前線です。「国連の仕事では、人間の最も恐ろしく汚い罪深いところを見せつけられることもしばしばあります」とつづる中満さんの仕事は、命の危険にさらされることも少なくありません。それでも「仕事とは、生活の糧であることはもちろんのこと、経験や教育によって得た知識や自分の特性を生かし、それを社会に還元しつつ自分なりの貢献をしていく作業。仲間と協力して世界を少しずつよいところにしていく作業に関われることは幸運だと感じている」と言い切ります。
英語を生かし、世界を舞台に自分は何ができるか? そのことを考えるきっかけに、ぜひお薦めの一冊です。

語学力とは、言葉の壁を乗り越えて自分とは違う文化や習慣を世界に発信できる力


『翻訳できない 世界のことば』

文・絵:エラ・フランシス・サンダース訳:前田まゆみ

出版社:創元社

価格:1600円(税別) 

昨今は、インターネットによって、日本に居ながらにして海外の情報を得ることができます。語学力のある人なら、たくさんの情報を得ることができますね。
言葉はその国の文化を表すと言われ、外国語ではどうしても一言で表現できない、その国ならではの言葉がたくさんあるそうです。『翻訳できない 世界のことば』はそんな言葉を世界中から集め、著者独特の繊細でユニークな文章とおしゃれなイラストで解説した、絵本のような単語集です。なかには日本語の「WABI-SABI(わびさび)」や「TSUNDOKU(積ん読)」もありました。「TSUNDOKU」は「積ん読。買ってきた本をほかのまだ読んでいない本といっしょに、読まずに積んでおくこと」となっています。ロシア語の「RAZLIUBIT(ラズリュビッチ)」は「恋がさめ、ほろ苦い気持ちになる」こと。たとえ一言では表せない言葉でも、こんなふうに平明な文章と絵で解説されればその気持ちはよくわかりますよね。
多文化共生の時代、国際理解の懸け橋に語学力が生かせる方法を探ってみてください。