高い所から海を見つめているあのひと、何してる?

2019.08.28 あのひと何してる?

ライフセーバー

海やプールへ行くと、黄色のユニフォームを着てトランシーバーを持ち、周囲に気を配っているライフセーバーをあちこちで見かけるね。マッチョで日焼けした精悍(せいかん)な姿が示す通り、水遊びや泳ぎを楽しむ人たちの安全を見守ってくれる頼もしい存在だ。「人命を守る」という使命を抱えるライフセーバーの仕事をフカボリしよう。(写真提供/NPO法人京都府ライフセービング協会)

人命や自然と向き合い、水辺の安全を守る


ライフセーバーは、水辺の事故を防ぐための監視や指導、および救助などを行います。浜辺の清掃活動や水辺の安全に関する教育活動を行うほか、技術向上のために競技会に参加することもあります。

活動のメインは、夏の海水浴場。海岸のパトロール、タワーからの安全監視、迷子の捜索や保護、海水浴客へ海の情報のアナウンスなど、仕事は多岐にわたります。体調不良になった人やケガをした人などは応急手当をし、万が一溺れた人がいればいち早く救助して、必要に応じて人工呼吸や胸骨圧迫(心臓マッサージ)などを行うこともあります。

特に「危険だな」と目を光らせるのは、次のような人です。
・流された浮き具を必死に追いかけている
・一人だけで泳いでいる
・子どもだけで入水している
・シュノーケリングに夢中になっている
・沖合から長時間戻ってこない

また、到着時・昼食時・帰宅時の準備をしていて、子どもから目を離しがちな保護者や、お酒に酔っている人などを見かけると、柔らかい伝え方で注意するように心がけています。

急な天候の変化による突風や風波で人が流されたり、海洋生物に刺されたりすることも少なくありません。天候や浜の地形、生息生物の特徴を把握することも事故防止につながります。

このようにライフセーバーは、救助だけでなく、事故を未然に防ぐ「No Rescue(ノーレスキュー)」の精神を何より大切にしています。何事もなく一日が終わり、みんなが笑顔で家に帰ってくれること。それがライフセーバーにとって最高の一日です。

どうしたらライフセーバーになれるの?


公益財団法人日本ライフセービング協会認定の資格を取得して、各地のライフセービングクラブに所属します。本職を持ちながら、ボランティアとして活動する人がほとんどです。

協力/NPO法人京都府ライフセービング協会
取材・文/内藤綾子