建築士になりたい。そのために今から学ぶことは?

2019.08.28 おしごとBOOK

しごとについての質問

建築士になりたいのですが、どうすればなれますか?(15歳・男子)

<答えてくれる人>児玉ひろ美(こだまひろみ)さん

公立図書館司書とJPIC*読書アドバイザーのふたつの立場から子どもの読書推進活動を展開。幼稚園・保育園から中学生まで、お話し会やブックトークの実践とともに、成人への講座や講演は年100回を超える。近年は短期大学にて「児童文化」「絵本論」の講義を担当し、「2021・2022・2023年度ブックスタート赤ちゃん絵本 選考委員」でもある。著作に『0~5歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)等があり、雑誌やWEB等でも連載中。

*JPIC(ジェイピック):一般社団法人 出版文化産業振興財団

中学高校で学ぶ授業は、全て建築に通じていますよ


『14歳からのケンチク学』
編:五十嵐太郎
出版社:彰国社
価格:1850円(税別)

建築士になるにはどんな資格が必要かは、今の時代、デジタルネイティブと呼ばれる15歳なら、ネットでいろいろ調べることもできるのでしょう。ということは、あなたの質問はきっとそんな単純なことではないのでしょうね。

問題はその道筋をどうやってたどってゆくのか、言い換えればこれからの中・高校生活をどう過ごせばよいのか? ということでしょうか? 

そんなあなたにお薦めなのは、『14歳からのケンチク学』。この本を編集した東北大学の教授である五十嵐さんは、中学高校で学ぶ授業は全て建築に通ずると考え、各教科ごとの建築学へと導く入り口を考えました。目次を見てみると、数学に始まり、生物、美術、英語、政治経済、おまけに課外授業、体育、修学旅行まであり、全部で18科目が並んでます。

なんだか、明日からの授業へのモチベーションが変わりそうな気がしますね。もちろんどこから読んでも良いそうです。さあ、まずは何から読みましょうか?

建築の先生、ル・コルビュジエを絵本で理解してみませんか?


『ル・コルビュジエ 建築家の仕事』
著者:フランシーヌ・ブッシェ、ミッシェル・コーアン
絵: ミッシェル・ラビ
訳者:小野塚昭三郎
出版社:現代企画室
価格:2000円(税別)

建築については、東京オリンピック・パラリンピック会場の建築コンペが大きな話題になりました。

小池東京都知事が「巨額の経費を使い開催する東京五輪は、レガシー(未来への遺産)にしなければならない」と、会場への期待感を表明しましたね。レガシーといえば、世界遺産に登録された、ル・コルビュジエ設計の「国立西洋美術館」のことは、建築に興味のあるあなたなら、記憶にあることでしょう。

恥ずかしいことに、私は地元でありながら西洋美術館はもちろん、ル・コルビュジエのすばらしさが全く理解できず「何がそんなに素晴らしいのだろう?」と思っていました。

そんな私の曇った目を払拭してくれたのが絵本『ル・コルビュジエ 建築家の仕事』です。なぜ彼が世界の建築家の先生と言われるのか、彼がいなかったら、家も都市もいまとは別のものになっていただろうといわれている理由について、わかりやすく描かれています。この絵本、長い間絶版でしたが表紙を大人っぽくリニューアルして復刊されました。