大好きな折り紙、仕事にも活かせる?

2019.08.28 おしごとBOOK

しごとについての質問

折り紙が大好きです。大人になってから、仕事に役立つことってありますか?(10歳・男子)

<答えてくれる人>児玉ひろ美(こだまひろみ)さん

公立図書館司書とJPIC*読書アドバイザーのふたつの立場から子どもの読書推進活動を展開。幼稚園・保育園から中学生まで、お話し会やブックトークの実践とともに、成人への講座や講演は年100回を超える。近年は短期大学にて「児童文化」「絵本論」の講義を担当し、「2021・2022・2023年度ブックスタート赤ちゃん絵本 選考委員」でもある。著作に『0~5歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)等があり、雑誌やWEB等でも連載中。

*JPIC(ジェイピック):一般社団法人 出版文化産業振興財団

折り紙の要素は、宇宙開発にも応用されているんですよ


『すごいぞ折り紙 入門編 折り紙の発想で幾何を楽しむ』
著者:阿部 恒
出版社:日本評論社
価格:1400円(税別)

折り紙好きなら、すでにご存じかもしれませんが、「折り紙」は、いまや世界でも「Origami」で通用するほど世界中の人々の注目を集めています。1枚の紙が立体へと姿を変えてゆく様は、幼い頃から見慣れている日本人にとってはごく普通のことですが、海外の方にとっては「fantastic!」な出来事のようですね。

昨今は1枚の紙から立体への仕組みを応用して、宇宙開発に役立てるという研究も進められています。そこで、ご紹介したいのは、『すごいぞ折り紙 入門編 折り紙の発想で幾何を楽しむ』です。著者は、折り紙を日本式の数学教育として考え、紙を手にして試してもらえれば、一見難しそうな数学の幾何(きか)の問題も小学生の算数で解けるのではないか、と前書きに記しています。実際に通信衛星の太陽電池パネルの開閉に使われている“ミウラ折り”の折り方も紹介されています。

「Origami」は国際交流のきっかけになります


『鶴のおりがみBOOK Crane Origami Handbook』
著者:小林一夫
出版社:二見書房
価格:1200円(税別)

世界で通用する「Origami」なら、当然その折り方も世界の人々が知りたいところでしょう。『鶴のおりがみBOOK Crane Origami Handbook』は、折り紙のなかでも海外の方に広く知られ人気の高い「鶴」をテーマに、基本の鶴Basic Crane、はばたく鶴Flapping Crane、二重の鶴Double-Layered Crane、鶴の門松Crane Kadomatsu、寿鶴Congratulatory Craneなど、25種類以上もの鶴の折り紙を紹介しています。また、英語・フランス語・中国語〈繁体字〉の訳が併記されていますので、海外の方へのおみやげはもちろん、国際交流のきっかけにピッタリですね。さあ、迎える2020年東京五輪・パラ五輪! 折り紙を使った国際交流は如何でしょう? 

著者の小林一夫さんは東京・御茶ノ水にある「おりがみ会館」館長です。小林さんは、先人の知恵や技を感じることのできる伝承の折り紙を愛し、古くから日本人の心に根ざした、生活の中にある折り紙のあり方を普及する活動をなさっています。