しごとについての質問
パパがすごく遅く帰ってきてびっくり! 何で仕事の帰りは早くなったり遅くなったりするの?(12歳・男子)
<答えてくれる人>清水克衛(しみずかつよし)さん
お父さんは、きっと夢中になって仕事しているんじゃないかな

『超訳! こども名著塾1論語・老子』
著者:「超訳! こども名著塾」編集委員会・編
出版社:日本図書センター
価格:2500円(税別)
君はお父さんが早く帰って来た方がうれしいのかな? それとも遅い方がいい? お父さんの仕事がヒマになって仕事の帰りがいつも早くなったら、お給料がもらえなくなってしまうかもしれない。でも忙しくて遅くなるのもお父さんの健康が心配だよね。こんな時、中国の古典といわれる「論語」や「老子」の教えをわかりやすく紹介した『超訳! こども名著塾1論語・老子』がとても役に立ちます。
論語にこんなのがある。「人の己を知らざることを患えず、人を知らざることを患う」。意味は「自分のことを知ってもらうよりも相手のことを正しく知ることがだいじだよ」。またこんなのもある。「知っているだけの人は好きな人にはかなわない。好きな人も楽しんでいる人にはかなわない」。どうだろう。まずお父さんの気持ちを考えてみて、お父さんが、楽しんで仕事ができるように、できることをサポートすることが大事じゃないかな。そして、そっと「いつもありがとう」って思うようにしてみよう。
時間より、納得のいくまで何かを作り上げているかもしれない

『アリさんとキリギリス』
著者:細谷功
出版社:さくら舎
価格:1600円(税別)
イソップ童話の「アリとキリギリス」って読んだことがありますか? アリたちは食べ物がなくなる冬にそなえて、夏の間コツコツと働き、準備をする。いっぽうキリギリスは、バイオリンを弾き、歌を歌いながら楽しく過ごす。そして冬になって食べ物がないキリギリスは、アリに食べ物を分けてくれるよう頼み込むんだけど、蓄えをしなかったキリギリスが悪いんだと断られて死んじゃうお話です。物語は、“アリのような生き方をしないと困ることになる”そう教えてくれているようです。
ここで『アリさんとキリギリス』を読んで考えてみましょう。本当にキリギリスの生き方はよくないことなのだろうか? この寓話の原型は2500年くらい前に作られています。その頃は、きっと生きていくだけでも大変な時代だったと想像しますが、今ぼくらはずいぶんと違う世界で生きています。先の論語にもあった、“知っているより、好きな人より、楽しんで仕事をする”のも悪くないかもしれないですよね。
※「人の己を知らざることを患えず、人を知らざることを患う」は、『論語』(金谷治訳注、岩波文庫)を参照しました。