
美術館の監視員
岐阜県美術館には7名の監視員がいて、交代で展示室の来館者をそっと見守っているよ。展示会の企画や運営などを行う学芸員と間違われることが多いけれど、実はまったく違う仕事をしているんだって。(写真提供/岐阜県美術館)
鑑賞マナーを見守り、作品を守るために虫も捕まえる
監視員は、来館者が心地よく鑑賞できるように、作品接触、写真撮影、危険物持ち込みなどの防止のために展示室を監視しています。来館者の動きを観察するため、立つ、座る、移動することを繰り返し、美術品に近づきすぎる人には、「少し離れてご覧ください」と控えめに声をかけます。
その他、受付の補助や、来館者からの問い合わせに対応することもあります。
美術館では、作品の損傷を防ぐために、展示室内の飲食は禁止ですが、「せきが出るのでのどアメをなめたい」といった事情がある場合もあります。
「ルールを優先するため、すべて禁止」ではなく、気持ちよく鑑賞してもらいながら、かつ美術品を守るために臨機応変に対応することが大切です。
監視しているのは、実は人だけではありません。最も目を光らせているのは、虫! 来館者と一緒に展示室に入ってきたクモや甲虫など、どんなに小さな虫でも必ず捕まえて封筒に入れ、報告書を添えて保存担当学芸員に提出します。
美術品が主役なら、監視員は黒子。見た目も、制服やスーツなどめだたないように装うのが基本です。「監視している」という硬い顔をせず、鑑賞者の立場にたって、「何かあったら気軽に声をかけてください」という雰囲気づくりを心がけています。
監視員には、どうしたらなれるの?
美術館の職員として採用される以外は、アルバイトで募集をしているところなどもあります。特別な資格、年齢、経験などは必要ありません(ただし、美術館によっては学芸員資格などが求められる場合があります)。美術に興味があり、詳しく勉強している人が、より適しています。