世界記録誕生! その横にいるあのひと、何してる?

2019.08.28 あのひと何してる?

ギネス世界記録™公式認定員

まじめなものから奇想天外なものまで、あらゆるジャンルの世界記録を認定する「ギネス世界記録公式認定員」。写真左は、「連続して跳び箱を跳んだ最多人数」という挑戦を審査しているときの様子だ。“世界一”の瞬間に立ち会う仕事なんて、ワクワクするね。(写真提供/ギネスワールドレコーズジャパン株式会社)

世界に約100名。公平な姿勢を貫く世界記録の番人


ギネスワールドレコーズ™は、世界記録を収集、認定している組織です。データベースには約5万件の記録があり、年間約4万件以上の記録申請を世界中から受け付けています。その中で働くギネス世界記録公式認定員は、全世界で約100名存在しています。

申請された案件を世界記録として定義するためのポイントは、次の4つです。
1) 計測できる
2) 証明できる
3) 標準化できる
4) 破ることが可能な記録である
それらに照らし合わせ、公平さを保ち、厳正な審査を行うのが仕事です。

人間を含む生き物の生態や活動、植物、造形物や建物などあらゆるものを対象としているため、ひとつとして同じ現場はなく、活動内容も多岐にわたります。

最大の叫び声を審査するため、一斉に叫ぶ何百人もの挑戦者たちの中心に立って騒音計で測ったり、雪野原で何時間もかけて多数の雪だるまを数えて回ったりするなど、体力的に大変なことがたくさんあります。

コレクション記録では、トランプカード、鉛筆削り器、飛行機内の食事メニュー、糞の化石などユニークなラインアップも。何千点もあるコレクションの申請には、審査に何カ月もかかることがよくあり、知的体力や集中力も必要です。

あらゆる記録の裏には、そこに至るまでの準備や努力があり、多くの人の支援で成し得る記録も多々あります。その熱意を受け止め、挑戦者と同じ真剣さで審査することを常に心がけています。

新しい記録の誕生には胸が熱くなりますが、同時に、以前の記録保持者の記録が破られたことを意味します。厳正な審査を行うのは、単にルールを守るだけでなく、記録を破られる人に対して敬意を払うためでもあるのです。

ギネス世界記録公式認定員には、どうしたらなれるの?


ギネスワールドレコーズに採用されることが前提です。年齢制限はなく、特別な資格も不要です。ただし、ルール説明はすべて英文で作成され、社内公用語も英語であるため、細かいニュアンスも理解できる英語力が必要。好奇心旺盛で、自分の好きな分野や熱中するものがある人は向いているかも。

協力/ギネスワールドレコーズジャパン株式会社
取材・文/内藤綾子