子どもに優しい眼差しを注ぐあのひと、何してる?

2019.08.28 あのひと何してる?

小児科医(しょうにかい)

風邪をひいたとき、一度は“お医者さん”にかかったことがあるんじゃないかな。子どもを診るお医者さんを「小児科医」というよ。一般的には、病院に勤める勤務医や、診療所を自分で開いている開業医などがいるんだ。(写真提供/有明こどもクリニック豊洲院)

病気の治療と予防、成長・発達を長期で見守るサポーター


赤ちゃんから成人するまで、体の部位を問わずケガや病気の治療をする小児科医。予防接種などによる病気の予防や、かかりつけ医として成長・発達を見守ることも重要な仕事です。

診察では、体調不良でご機嫌ななめな子どもへの配慮が欠かせません。医師は、穏やかな口調で笑顔を絶やさず、白衣を着ないといったことで子どもの気持ちを和らげる工夫をしています。

乳幼児の予防接種では、腕を氷枕で冷やし、もう一方の手に風車を握らせ、子どもが風車を吹いている間に注射して恐怖心を和らげるなど、多くの医師が、さまざまなアイデアで子どもと向き合います。

症状や訴えを話すことができない赤ちゃんや幼児を相手にすることが多いので、子どもの表情や意識のレベルから体の状態を読み取る洞察力は不可欠です。保護者に子どもの症状を聞き、丁寧に説明をするコミュニケーション能力も欠かせません。

病院以外の保育園医、学校医、保健所で行う集団乳幼児健診などの行政サービスにも参加したり、学会へ出席して病気の知識を深めたりと、診察室以外にも幅広い場所で活動しています。

小さい命と向き合うリスクと重い責任、病院内外での忙しい毎日はスーパーハード。そんな中、子どもが少しずつ回復して笑顔になっていく姿を見ることと、「治してくれてありがとう」という感謝の言葉をもらえる瞬間は、最高のやりがいを感じるのだそうです。

小児科医には、どうしたらなれるの?


医師になるために、大学の医学部で正規の医学課程(6年間)を修めて卒業したあと、厚生労働省が行う医師国家試験に合格し、医師免許を取得。2年の研修期間を経て、希望の専門科へ。小児科では3年以上現場で経験を積み、学会の認定試験に合格すれば小児科専門医になれます。

協力/有明こどもクリニック豊洲院
取材・文/内藤綾子