動物園の飼育員
写真は、天王寺動物園(大阪市)でカバの歯磨きをしている風景。飼育員の前では、どう猛なカバも素直に大きな口を開けるんだね。動物好きな人にはうらやましい仕事かもしれないけれど、「かわいがる」だけではいけない。生き物の命を預かる仕事は大きな責任を伴うんだ。(写真提供/天王寺動物園)
動物の魅力を知ってもらうことがやりがいに
動物の健康管理、獣舎清掃、エサの調理など、家族同様の愛情を持って動物を支えている飼育員。それだけでなく、動物の魅力や生態について、園内イベントや動物ガイドを通してわかりやすく伝えていくことも大切な仕事です。動物の素晴らしさを多くの人に伝えることは、大きなやりがいにつながります。
飼育員は、4~6名がチームを組んで複数の動物を担当。新人でも、ゾウ、キリン、ライオンなど大きな動物や猛獣などを扱います。「猛獣の世話は危険、小動物は安全」と思いがちですが、そうではありません。どんな動物でも、その日の機嫌や発情期などにより、いつもと違った態度や攻撃的な行動に出ることがあるので、獣舎に入るときは危険と隣り合わせ。猛獣などの間接飼育(動物と飼育員の間を鉄格子などで隔て、間接に行う飼育作業)は扉や施錠の確認が最重要ですが、動物それぞれの動きや顔つき、目つきなどを熟知して、どんなときも動物に背中を見せず、作業中も常に動きを把握しています。
同時に、食欲の有無、便や尿の状態、動き方、行動などをよく観察し、体調管理にも細心の注意を払います。動物を健康でストレスなく飼育することが、繁殖へとつながります。妊娠がわかれば、静かな環境で安心して出産に集中できるよう、獣舎を暗くして入室は最小限に。特に敏感なホッキョクグマの場合、一切入室せず、モニターや音声録音機を設置して別室で見守ります。
どうしたら動物園の飼育員になれるの?
畜産専攻の大学や動物関連の専門学校で、動物生態学などを学んだり、飼育実習を行ったりして知識を深めてから動物園に就職します。動物園は民間のほかに公立で運営しているところがあり、後者の場合、公務員試験に合格することが必要。また、学芸員の資格があると有利に。外国人観光客も多いので、語学が生かせる職種です。