鷹匠(たかじょう)
「ピッ」という笛を合図に、鷹匠の腕から舞い上がる鷹。大空をゆうゆうと飛ぶ美しい姿に、実演会の観客から「おぉ!」の歓声が上がるよ。鷹匠は日本で1600年以上の歴史があり、戦前まで宮内庁の公職として高貴な仕事だったんだ。現在、狩りをする伝統的な鷹匠は約50名、猛禽をペットとする愛好者は約200~300名いるんだって(飼育には、種類によって地方自治体の許可が必要)。
鷹は神の化身。機嫌を損なわない配慮を
訓練した鷹を調教し、キジなどの鳥やウサギなどの動物を狩るのが鷹匠です。昔は鷹狩りをする将軍や殿さまのために鷹を調教することが仕事でしたが、現代では鷹狩りという伝統文化を伝えることが役割に。学校や博物館、美術館、公園といった施設からの実演会や講演会の依頼を多く受けています。日本の文化研究のため、海外から鷹狩り体験の依頼をされることもあります。
その他、鷹道具の復元、野鳥の調査、害鳥の追い払いなど、鷹匠の仕事内容はさまざま。空港では、離着陸時の航空機に鳥が衝突するバードストライクの防止にも役立っています。
一般的に鷹匠は、鷹と一緒に生活をしています。飼育スペースには鳴き声などの騒音対策を施し、訓練のために静かで広い環境まで車で移動することも。餌になる動物であるハト、ウズラ、カモ、キジなどはペットショップで購入できますが、これらの動物を飼育、繁殖させることもあります。
鷹と接する日常で重要なのは、鷹の機嫌を損ねないこと。鷹は不愉快なことがあれば、「鷹匠のせいだ」と考えやすい性質を持っています。また、鷹は「神の化身」として大切に扱わなければならないため、急な動きをして驚かせるなど、嫌がることはしません。訓練でも、犬のように獲物を捕って戻るのではなく、実は鷹匠が鷹を追いかけて行き、持っている餌と獲物を交換して気を悪くさせないようにしています。餌や十分な水を与えて、気持ちよく一日が終われるように気を配るのはもちろんです。
どうしたら鷹匠になれるの?
複数の民間団体が存在するので、各流派に入門して訓練を受け、認定試験の合格を目指します。また、鷹を飼育する際の大きな鳥小屋の設置や餌の確保など、環境や費用を準備できることも必要です。鷹匠の仕事だけで生計を立てることは難しいため、副業とする人が一般的です。