無数の蜂がひしめく箱を覗くあのひと、何してる?

2019.08.28 あのひと何してる?

養蜂家(ようほうか)

ミツバチの巣箱は東京の都心から山奥などさまざまな場所にあるけれど、基本的には人目につきにくい場所が選ばれるんだ。ここ、岐阜県の山奥にある養蜂場では、養蜂家がミツバチの巣板を1枚ずつ取り出しながら採蜜しているよ。1枚に、2000匹ものミツバチがいるんだって! 蜂を扱う仕事って危険ではないのかな。(写真提供/小森養蜂場)

ミツバチを育てて増やす。ハチミツ販売やレンタルも


養蜂家の仕事は、ミツバチを飼育して増やすことです。それに付随して、ハチミツ、ローヤルゼリー、蜜蝋などミツバチ由来の製品をつくって販売したり、イチゴなどの果物や野菜の受粉用に農家へミツバチをレンタルしたりするなど、養蜂家それぞれに事業を広げています。

ミツバチは、ひとつの巣箱を「群(ぐん)」という単位で数えており、1匹の女王蜂、数百のオス蜂、数万の働き蜂で構成されています。「ひとつの群に女王蜂は1匹だけ」というルールが存在し、女王蜂が毎日1000個前後の卵を産んで子どもを増やします。オス蜂は巣の中で一切仕事をせず、毎日定刻になると交尾飛行へ出かけるだけ。働き蜂は、主な食料になる花の蜜と花粉集め、幼虫・女王蜂の世話、巣の掃除や巣作りなど、産卵以外のすべての仕事を受け持っています。

蜂の飼育は、季節ごとの管理が重要です。蜜源植物(ミツバチに蜜や花粉を供給してくれる植物)の多い春から夏が繁殖期で蜂がグンと増えるので、大きくなった群を分割して増群します。ハチミツを販売する場合は、ミツバチがたくさん蜜を集めるこの時期に採蜜します。

秋頃からは蜜源植物が少なくなるのでこまめなエサやりを欠かさず、ミツバチの数も減少するので、群の規模を調整。冬は巣箱のメンテナンスなどをしながら翌年の春に備えます。

ミツバチは、丁寧に扱えば穏やかな性格をしています。ただし、巣箱を乱暴に扱ったり大きい音を出したりすると、怒って刺すことも。刺されると痛いですが、ひと晩くらいで腫れはおさまるといいます。蜂への感謝と愛情を忘れずに接することが、仕事のパートナーである蜂とよりよい関係を築くポイントです。

どうしたら養蜂家になれるの?


専門家のもとで修業をするほか、養蜂場に就職して必要な知識や技術を覚えるといった
方法があります。

協力/小森養蜂場
取材・文/内藤綾子