スピーカーだらけの部屋にいるあのひと、何してる?

2019.08.28 あのひと何してる?

レコーディングエンジニア

アーティストのCDやテレビで流れるCMソングなどは、音楽スタジオで録音されたものだ。その録音作業を手がける技術者が、レコーディングエンジニア。音楽スタジオの他、コンサートホールやライブハウスでライブ収録をしたり、山や海などに出かけて大自然の音の収録(フィールド録音)をしたりすることもあるんだって。(写真提供/株式会社 音響ハウス)

アーティストの魅力を引き出し、形にして録音する音の職人


アーティストが音楽スタジオなどでレコーディングを行う際に、演奏や歌、セリフを録音し、音響機器でより良い音源に仕上げるのがレコーディングエンジニアの仕事です。

レコーディングエンジニアは大きなコンソール(調整卓)を使いこなし、音を録音して調整します。マイクひとつとっても「ダイナミック」「コンデンサー」「真空管」「リボン」などの種類があるので、楽器や音量によって使い分けます。歌の録音は、ボーカルの声質に合わせて試しながら選ぶこともあります。

その他、マイクのレベルを増幅させるマイクアンプ、整音に欠かせないエフェクタなど多数の音響機器を操作する技術だけではなく、接続したり不具合の原因を探ったりするために、電気工学の知識も必要です。

人それぞれ感性が違うので、アーティスト、プロデューサー、ディレクターといったクライアントが納得する音を形にするのがこの仕事の難しいところ。「こんな音にしたい」という要望に応えるため、粘り強くディスカッションを重ねます。ひとつの音楽の分野を深く追究するより、たくさんの分野の音楽を広く知り、多くの提案やアレンジできることが求められます。

どうしたらレコーディングエンジニアになれるの?


音楽関係の専門学校や音楽大学のエンジニアコースで、音響機器の操作やマスタリング(音響要素の最終調整)などの技術を学ぶ必要があります。録音、編集、ミキシングを行う音楽編集ソフトウェアの操作方法を習得することも大切。就職先は、レコード会社または音楽スタジオが多いです。

長時間の作業が多いので集中力と忍耐力が必須となり、ずっとクライアントと一緒に過ごすため、コミュニケーション能力も不可欠に。「音楽が好き」というだけでは務まらない厳しい一面もあります。

協力/株式会社 音響ハウス
取材・文/内藤綾子