「生活保護はもともと、日本人が対象です。ただ、外国籍でも、日本に長く安定して暮らす資格を持つ人であれば受けることができます。留学生や、旅行・仕事で短期間来ている人などはもらえません」
「国籍に関係なく、同じ条件で生活の困り具合を審査しています。生活保護を受けている世帯の97%は日本国籍です」

インターネットやSNSには、にせ情報や生成AI(エーアイ)によるフェイク動画などもあります。情報を整理し、確かさを調べるため、朝日新聞社が取り組む「ファクトチェック」について聞きました。
- 新聞社の仕事
- 調べて伝える仕事
- デジタル技術を使う仕事
世の中への影響が特に大きいSNS投稿の文章や画像に含まれる事実について、取材して調べる「ファクトチェック」をしています。
朝日新聞社は2016年から、政治家の発言が事実に基づいているかどうかを調べる「ファクトチェック」を始めました。その後、生成AIの技術などが進歩し、人々を混乱させるためにわざと発信される「にせ情報(デマ)」や、勘違いや誤解に基づく「誤情報」が増えたため、読者からの要望も受けて2025年から、事実を確認する取り組みを強化しています。
どんな投稿を、どうやって調べているの?
SNSで2025年6月、「外国人への生活保護が優遇されている」という投稿が拡散されました。記者が取材すると、間違いだと分かりました。
*生活保護とは:病気などで働けず貯金もない世帯等に、国が生活費を払う制度。全国で約165万世帯、計約200万人が支援を受けている。

「外国人は生活保護を受け取りやすい?
厚生労働省『優遇はない』」
(朝日新聞デジタル記事 2025年7月15日)

石田耕一郎 記者
この投稿は、「外国人をどう受け入れていくか」が大きなテーマだった参議院選挙の時に拡散されました。選挙や災害の時は特に、不安や関心の高まりからデマが増えます。怒りなどの感情に訴えるデマは、事実の約6倍の速さで広まるという研究結果もあります。お金目当てで閲覧数を稼ごうとする人だけでなく、「役に立つ情報だから知らせたい」と考え、広めてしまう人もいるためです。善意であっても、デマを広げてしまう可能性は誰にでもあるのです。

石田記者


厚生労働省 担当者の話
新聞社が「ファクトチェック」を始めた理由は?

▲ファクトチェックをめぐり意見交換する記者たち

インターネット技術が普及するまで、ニュースを伝えられるのは、新聞社や通信社、放送局など、一部の人に限られていました。記者は新しい事実を掘り起こし、いち早く伝えることが大事でした。

SNSやブログで誰もが情報発信できるようになったため、新聞社は「情報のプロ」として、あふれる情報を整理して分かりやすくしたり、正しいかどうかをチェックしたりすることも大事になっています。
そもそも新聞記者は、ネットの情報をもとに取材する時も、必ず他の情報と照らし合わせて原稿を書きます。その後、デスクと呼ばれるチェック役や、校閲記者という事実確認のプロなど、多くの人の目を通って記事が完成します。朝日学生新聞社のおしごと紹介ページも参考にしてください。

ファクトチェック担当・
小河雅臣 社会部次長
ファクトチェック編集部の記事はここから読めるよ!
記事をつくるため、議論をたくさんするんだポン

にせ情報や誤情報は、なぜ問題なの?
社会の安全が守られ、皆が安心して暮らすためには、大事なことが事実に基づいて決まっていく必要があります。ヨーロッパでは2020年ごろ、「携帯電話の電波が新型コロナウイルスを広げる」というデマが流れ、それを信じた人々が、携帯電話の基地局を破壊する事件が起きました。こうした犯罪が起きると、社会に混乱が生じてしまいます。
にせ情報や誤った情報にだまされないために、また、それらを広げないために、新聞社以外でも取り組みが広がっています。総務省は、「インターネットとの向き合い方~ニセ・誤情報にだまされないために~第2版」という冊子を作り、正しい情報の見極め方についても解説しています(下の図)。

情報を注意深く、観察することが大切ね

判定結果より、経緯を丁寧に伝えたい
朝日新聞社ゼネラルエディター補佐・ファクトチェック編集長
仲村和代さん
ファクトチェックで大切にしているのは、判定結果ではなく、その情報がなぜ発信されたのかという経緯を調べて、丁寧に伝えることです。世の中は複雑で、簡単に「シロかクロか」などと判定できません。人は「信じたいものを信じる」ので、判定することで、社会の中の対立を深めてしまうおそれもあります。目立つ情報に飛びつかず、立ち止まって考える習慣を社会に広げていくにはどうしたらいいか、編集部でも議論しながら取り組んでいます。新聞やテレビ、SNSでは情報の出し方も違うので、ぜひ興味を持って見てくださいね。
ファクトチェックにぜひ関心を持ってね!
