

中野珠那さん
財務省大阪税関 監視部 麻薬探知犬管理室(大阪府泉佐野市)麻薬探しを楽しめるように導く
シェパードが、鼻をくんくんさせて箱のにおいをかいでいます。ハンドラー(犬の担当者)が見守る中、一つの箱の前で座りました。「Good boy!(よくやった!)」とほめられた犬は、うれしそうにタオルのおもちゃで遊び始めました。これは「麻薬探知犬」の訓練のようすです。空港や港には、海外からたくさんの人や荷物が集まります。中には、体に悪く違法な薬物「麻薬」などを、かくれて持ちこもうとする人がいます。
それらを見つけるのは、税関という国の機関の大切な仕事です。犬の鼻は人間の数万倍以上もの、においをかぎわける力があるともいわれます。探知犬は麻薬をにおいで見つけます。ハンドラーは探知犬と空港や港、倉庫などをまわります。大切なのは、「犬が楽しんで探せるようにすること」と中野さんはいいます。探知犬にとって検査は、「宝探しゲーム」のようなものなのです。
訓練では最初に、タオルを丸めた「ダミー」というおもちゃで遊んであげます。次に麻薬のにおいをつけたダミーでいっしょに遊びます。さらににおいのついたダミーを箱にかくし、見つけたら思いっきりほめて遊んであげます。こうして犬は、「このにおいを見つけると遊んでもらえる!」と覚え、進んで検査に取り組むようになるのです。
動物が大好きで、高校生からこの仕事をめざしてきた中野さん。仕事は「楽しい」と語ります。一方で大変だと感じることもあります。中野さんのパートナー犬でシェパードのシスカ号(3歳)は元々、周りのようすが気になって検査に集中できなくなる犬でした。中野さんは「どうすれば気にしなくなるだろう?」と考え続け、自分の声や体の動きでシスカ号の気持ちを引きつける方法を見つけました。こうしてシスカ号は、検査が大好きで、集中して取り組める犬になりました。
「うまくいかなくていやになることもあります。でも犬はとても純粋にがんばってくれます。だから私もがんばろうと思えます」
- 2001年
- 大阪府生まれ
- 小学校時代
- ゲームが大好きで、実は動物は苦手だった。5年生のときに小型犬を飼い始めたことで、犬や動物が好きになる
- 中学・高校時代
- 中学校時代はゲーム以外に、おかし作りや絵をかくなど、「楽しそうだな」と思うことは何でも挑戦した。高校3年生のときに麻薬探知犬のハンドラーの仕事を知り、めざすことに
- 大学時代
- 立命館大学法学部に進学。パン屋のアルバイトに打ちこんだ。働くうちに、経験がなく初めは気が進まなかった仕事にも、積極的に取り組むクセが身についた
- 2023年
- 国家公務員の試験に合格し、大阪税関の職員に。夢がかない、麻薬探知犬のハンドラーになった
なるためには?
麻薬探知犬のハンドラーは税関の職員です。税関で働く人は国家公務員で、ハンドラーになるには、「国家公務員採用一般職試験」というテストに合格し、面接を受けて、税関に採用されることが必要です。なるために必要な資格はありません。
税関で働く人たちは、数年ごとにちがう部署や内容の仕事を経験します。そのため、ハンドラーとして働く期間もありますが、ほかの仕事をすることもあります。
必要なものは?
タオルをつつのように丸めたおもちゃ「ダミー」です。犬はダミーを使って、人と引っ張り合いや追いかけっこなどをするのが好きです。

ダミーをくわえるシスカ号。中野さんと追いかけっこをしています
おしごとあるある
麻薬探知犬に向いている犬種は主に、大型犬のラブラドルレトリバーやシェパードなど。かしこくて、体が大きく、遊び好きで、人や荷物をかぎ回るのに向いています。毎日大型犬と接しているので、小型犬がすごく小さく感じてしまいます。
荷物がたくさん積まれた倉庫では、犬の安全管理にとても注意をはらいます。なので街で犬を散歩する人を見てもつい、「ひもの持ち方、大丈夫かな……」と気にしてしまいます。
2026.6. 22付 朝日小学生新聞
構成・小貫友里
毎週月曜連載中の「教えて!〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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