

川路さとみさん
ショコラティエ川路(東京都墨田区)感情・経験を一粒のチョコに
チョコレートのおかしを専門に作る職人を「ショコラティエ」といいます。川路さんが東京都墨田区にかまえるお店「ショコラティエ川路」には、黒みつやほうじ茶を使ったものや、縁起がよいとされる和風の柄でデザインした和ショコラが並びます。
その仕事は、板チョコを溶かすところから始まります。溶かしたチョコに生クリーム、抹茶などのフレーバーを混ぜ、2・5センチ角の型に流しこみます。
チョコ作りで大切なのは「温度」と川路さん。油分が多いチョコと、水分が多い生クリームを混ぜるため、温度が1度ちがうとうまく混ざらなかったり、固まらなかったりすることもあるそうです。「試作しながら、そのときに合った温度を見極めるのは、まさに実験です」
一つのチョコを作るのに、チョコと食材の組み合わせの数は100通り以上。数回の試作で決まることもあれば、10年ほどかけて作ることもあります。
フランスで修業していたころに日本のよさを再確認し、「日本人の私だからできるチョコを作りたい」と、いまのお店を開きました。2・5センチ角の中にどう世界を表現するか、「妥協せずに考え続けたい」と川路さん。そんな気持ちで、きょうもチョコ作りと向き合います。
- 1984年
- 千葉県生まれ
- 小学校時代
- 4人きょうだいの長女。6年生の時、テレビで紹介されていたケーキを作ると、弟が喜んでくれた。卒業文集には「ケーキ職人になる」と書いた。
- 中学・高校時代
- 友だちの誕生日などには、ケーキを作ってプレゼントしていた
- 専門学校時代
- 日本菓子専門学校製菓技術学科に入学。2年生の時に洋菓子科で学ぶ
- 2005年
- 東京ディズニーシー・ホテルミラコスタのスイーツ部門で働く
- 2008年
- 職場の先輩から「チョコ作りは向いていない」といわれ、見返すために本場のフランスへ。パリで有名なチョコレート専門店で2年間、修業する
- 2011年~
- 帰国後、東京・銀座のチョコレートショップで働き、30歳で独立。「お菓子マニアのチョコレートアカデミー協会」を設立し、チョコレート教室を開く。17年にショコラティエ川路を開店
人から人へ 連なる幸せ
ショコラティエが登場するネットフリックスのドラマ『匿名の恋人たち』では、チョコの監修をした川路さん。その影響からか、「お店をおとずれる若い世代が少しずつ増えていてうれしい」と笑顔を見せます。
一粒一粒が宝石のようなチョコを、お客さんがうれしそうに選ぶ姿を見るのは楽しみでもあり、やりがいにつながっています。プレゼント用に買った人からは「相手に喜んでもらえた」と感謝されることも。「わたした人も、もらった人も幸せになることは、私の幸せでもある。チョコを通じて、幸せの連鎖を生み出していきたいです」
なるためには?
食べ物をあつかう立場である以上、最初に求められるのは、おいしいものを作ることではなく、衛生面や安全面に気を配って作ることです。専門学校でそのあたりを学んだり、お店でしっかり修業したりして身につけていくのをおすすめします。
チョコは小さいサイズの中で、世界を表現しなくてはいけません。いまのうちからさまざまな経験をして、チョコ作りの表現に生かしていってほしいです。
思いでのしごと
フランスでお世話になったシェフから「あなただからできるチョコがある」と言われたことで、「私にしかできないことは何だろう?」と考えるようになりました。また「チョコは、自分が感じたうれしいことや、悲しいことなどを表現するもの。チョコを作るには、そうした経験をたくさん積まなければいけない」と教えてもらったのも、いまに生きています。現地での出会いや経験が、ショコラティエとして生きる土台になりました。
もっと知るには
小学生の時、物語とともに、おかしの作り方も紹介する「わかったさんのおかし」シリーズが大好きでした。読んで、実際に作る楽しさを味わってみてください。

『わかったさんのチョコレート』(原案 寺村輝夫 作絵 永井郁子 あかね書房、1320円)
2026.2. 2付 朝日小学生新聞
構成・佐藤美咲
毎週月曜連載中の「教えて!〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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