
盲導犬訓練士
目の見えない人や見えにくい人を、安全に歩けるようにサポートする「盲導犬(もうどうけん)」。街中で見かけたことはあるかな? 盲導犬訓練士は、犬を育て、りっぱな盲導犬になれるように訓練をするお仕事をしているよ。実際にどんな訓練をしているのかな?(写真提供/日本盲導犬協会 撮影地は静岡県富士宮市)
犬の様子を観察し、個性に合わせた訓練を行う
盲導犬の訓練は、子犬のころから行われるわけではありません。犬たちは生後2カ月になるまでは母犬のそばで育てられ、生後2カ月から1歳になるまでは、パピーウォーカーと呼ばれるボランティアの家庭で愛情いっぱいに育てられて、社会と家庭でのルールを学びます。

誘導訓練でバスに乗る訓練をしているところ(撮影地=神奈川県横浜市)
盲導犬訓練士は、月1回のパピーウォーカーとの勉強会で犬たちの成長を見守り、健康状態を確認し、月齢やそれぞれの犬に合った飼育のアドバイスをします。
1歳ごろになると、訓練センターで本格的な訓練が始まります。盲導犬訓練士が定期的にテストを行い、盲導犬に向いているかどうかを見極めます。テストを通過した犬は訓練を継続し、盲導犬に向いてないと判断された犬は、キャリアチェンジ犬飼育ボランティアに引き取られ、家族の一員として生活をします。このキャリアチェンジ犬飼育ボランティアの人たちや、盲導犬のキャリアを引退したリタイア犬を引き取ってくれる人たちとの橋渡しも、訓練士の仕事の一部です。

盲導犬訓練士の道具。ハーネスや軍手など、訓練に必要なものがそろっている(撮影地=神奈川県横浜市)
訓練開始から10カ月を過ぎて、ひと通りの訓練を終えると、盲導犬ユーザーとともに共同訓練に進みます。盲導犬訓練士はユーザーに盲導犬との歩き方、犬の世話の方法や暮らし方について教えます。
盲導犬訓練士の仕事は、犬の訓練や日々のお世話、パピーウォーカーへの指導、ユーザーと犬とのマッチング、そして盲導犬デビュー後の定期的なフォローアップなど、多岐にわたります。その中でも中心となるのが、訓練です。
訓練は大きく「基本訓練」「誘導訓練」の2つに分けられます。「基本訓練」では、人とのコミュニケーションの方法を教えます。「シット(おすわり)」「ダウン(ふせ)」など、人のしてほしいことが指示通りににできたら「グッド」とほめ、違うときは「ノー」と伝え、楽しく遊びながら訓練します。

盲導犬には、大人がハーネスを持つのにちょうどよい大きさで、おだやかでやさしい性格のラブラドール・レトリバーが多く活躍している(撮影地=神奈川県横浜市)
「誘導訓練」では、実際にハーネスを着けて街中を歩きます。段差で止まる、障害物を避けるなどの基本的な動作や、電車・バスへの乗車といった、実際にユーザーと安全に街を歩くための練習をします。
人間と同じで、犬にも一頭一頭個性があります。うれしいと感じるほめられ方や、作業を覚えるスピードもそれぞれ異なるため、みんな同じやり方でうまくいくとは限りません。
どうしてもうまくいかないときには、犬の様子を観察して何を求めているかを考えます。教え方や育て方には正解がなく、それぞれの個性に合った関わり方を考えるのが、この仕事で一番大変な部分です。
盲導犬訓練士は、常に犬の気持ちに寄り添い、犬との信頼関係を築きます。その結果、訓練を通して犬の成長がみられたときには、本当にうれしく思うそうです。また、盲導犬との歩行を通じてユーザーの行動範囲が広がり、その人らしい生活を送る姿を見ることが、仕事のやりがいにつながっています。
どうしたら盲導犬訓練士になれるの?
国家公安委員会から指定を受けた盲導犬育成団体に就職し、約3年かけて犬の訓練に関する知識や技術、人との関わり方や視覚障害について学びます。その後、団体が行う認定試験に合格すると、訓練士として認められます。
訓練士となった後は、盲導犬歩行指導員の資格を持つ職員と一緒に、決められた回数の共同訓練を担当し、認定試験に合格すると、利用者に犬との歩き方を指導したり、犬との生活をサポートしたりする「盲導犬歩行指導員」の資格が得られます。