黒いスーツでジャンプをしているあのひと、何してる？
あのひと何してる？
モーションアクター
大人気のアニメやゲームは、CGのキャラクターをどうやって動かしているか知っているかな？ 実際に人が動いたデータをコンピューターに読み込むことで、CGキャラクターを動かせるんだ。アニメやゲームの声を担当する人が声優ならば、動きを担当する人たちがモーションアクターだよ。憧れのヒーローやゲームキャラクターになれる仕事について、教えてもらおう。（写真提供：活劇座）
戦国武将から動物まで 何にでもなりきる
モーションアクターは、マーカーと呼ばれるセンサーを体につけて、その移動値（位置と動き）をデジタルデータ化し、反映させることでキャラクターの動作を作り出します。マーカーの数はおよそ60個。周囲の赤外線カメラでマーカーからの反射光をとらえる光学式と、体に装着した慣性センサーからの情報を骨格モデルに反映させる慣性式があります。
サッカーや野球の選手、戦国武将、動物やドラゴンまで、何にでもなりきり、あらゆるキャラクターの動きを演じます。全身を使った演技をしますが、最近は指の動きや顔の表情を撮影することも。逆に小さな子ども向けのキャラクターやスマホゲームでは、大きく強調した演技をすることもあります。
1つのキャラクターを１人で演じる必要はなく、演技の部分は「俳優」が担当し、ダンスの部分は「ダンサー」が担当、アクションシーンは「スタントマン」が担当するなど、それぞれのプロが得意なパートを担当し、キャラクターに心と命を吹き込み、まるで生きているかのようにCGキャラクターを動かします。
（上）宙を舞うときはワイヤーを使って演技。（下）デジタル化されたキャラクターの動き。モーションアクターの中にはテレビで主演をした人も
意外に難しいのが待機ポーズ。ただ立っているポーズで完全に止まると静止画になってしまうので、自然に見えるように呼吸している動きを表現しながら、絶妙なバランスで体を揺らしキャラクターらしいポーズで立ちます。キャラクターが外国人の場合は、オリンピックで演技の点数が掲示されるのを待っている時の選手の動きなどを参考にすることがあります。
大切なのは心と連動した動きをすること。喜んだり悲しんだり闘ったり踊ったりなどを、キャラクターらしさを込めて表現します。
ゲーム制作者からどんな動きを求められているのかを聞き取る能力も必要です。「今までにないゾンビを」と言われて、新たなゾンビの動きを考えたり、いろいろなキックを実際に見てもらうなど、時間をかけてキャラクターを作り上げます。
モーションアクターの姿は画面に映らない「影」の仕事ですが、演じた動きはCGキャラクターを通して、世界中の人に見てもらえることが大きな魅力です。
モ―ションアクターを専門に活躍している人は少なく、特技を生かし俳優やスタントマン、ダンサーが仕事のジャンルのひとつとしてこなしていることがほとんど
どうしたらモーションアクターになれるの？
オーディションを受けてモーションアクター専門の会社に所属したり、モーションアクター育成スクールに入門します。俳優の養成所や芸能プロダクションに入って演技を学びながら、俳優やスタントマンとして活動するなかでモーションアクターの仕事へつながっていきます。
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