馬をこよなく愛するあのひと、何してる?

2019.09.30 あのひと何してる?

競走馬の調教師(きょうそうばのちょうきょうし)

競馬には、おじさんたちが熱狂しているイメージがあるかもしれない。でも、競走馬の走る姿はかっこよくて迫力があり、女性ファンも増えているよ。そんな競走馬を“勝てる馬”に育てるのが調教師だ。写真は、日本中央競馬会栗東トレーニング・センター(滋賀県)で、調教師が馬の世話をする厩務員(きゅうむいん)にエサの管理を指示しているところだよ。(写真提供/一般社団法人 日本調教師会 関東本部)

馬主から競走馬を預かり、トレーニングや健康管理をする

調教師は、馬主から競走馬を預かり、厩舎(きゅうしゃ)を運営して、毎日の世話やトレーニング、健康管理に目を配り、最良のコンディションでレースに出走させることが仕事です。その他、馬主や騎手との打ち合わせ、出走レースの選択、牧場や競り市で優秀な馬を探し出すなど、マネージメントの役割も担っています。

競走馬のトレーニングは、馬の個性や能力に合わせて考えます。たとえば、サラブレッドは暑さに弱いため、夏の早い時期は朝の4時ごろからトレーニングを開始。準備運動後に調教コースでタイムを確認し、各馬の状態を見て翌日以降の調教メニューを考えます。

午後は仮眠をとることもありますが、合間に馬主に馬の成長ぶりを報告したり、近くの牧場へ出かけたりすることも。泊まりがけで、北海道などの馬産地へ足を運ぶこともします。

馬は生き物なので、重要なのは健康管理です。サラブレッドは足が細くデリケートな体にもかかわらず、キツい調教(稽古)が必要。食欲の変化など馬をよく観察し、病気やケガをすれば24時間態勢で対応します。

調教師は厩務員や調教助手などのスタッフを雇っている厩舎の経営者という一面もあるので、競走馬がレースで活躍すれば、厩舎の運営も上向きになります。とはいえ、競走馬は “賞金を獲得する道具”ではなく、自分の子どもも同然。成長を楽しみにしながら日々の調教を重ねているのです。

どうしたら競走馬の調教師になれるの?


「日本中央競馬会(JRA)」か、「地方競馬全国協会(NAR)」の行う試験を受けて「調教師免許」を取得します。受験資格は28歳以上で、馬に乗るので体重は60キロを超えてはいけません(NARは体重制限なし)。豊富な厩舎実務経験や専門的知識が必要となるため、合格率は10%以下と超難関。現在の調教師は、元騎手や調教師の補佐を経験した人がほとんどです。

協力/一般社団法人 日本調教師会 関東本部

取材・文/内藤綾子