介護の仕事はAIに
取って代わられないって
ホント?
ホント。AIを活用しながら、
これまでどおり人が活躍する仕事だよ。
AIとは「Artificial Intelligence」(Artificial=人工の、人工的な Intelligence=知能、知性)の略語で、日本語に訳すと「人工知能」となります。これまで人間にしかできないと考えられていた知的活動を、コンピュータやロボットが代わりに行う技術をいいます。知的活動とは、私たちが「絵や文章を書く」「ゲームで遊ぶ」など、脳で考えて実行している活動すべてのことです。
AIのすごいところは、コンピュータが自ら学習し、スキルを高めていくところです。人は、何か失敗したら、二度と失敗しないように学習しますよね。AIも、それができるのです。こうしたAI技術の急速な発達により、近い将来、人間が行ってきた仕事の多くが、AIに奪われるといわれています。
一方で、AIがいかに進化しようとも、AIに取って代わられることのない仕事もあります。その1つこそが、介護の仕事なのです。
介護の仕事では、高齢者や障がい者の入浴や食事、トイレ、着替えなどのサポートをします。こうした身体介護の場面では、専門的な知識や技術だけではなく、やさしさや気配り、表情などのコミュニケーション能力も求められます。
AIは、人の気持ちをくみ取ることが苦手です。たとえば、入浴の場面で介護利用者が幸せそうな表情を浮かべても、AIはその感情を読み取ることが苦手なため、介護利用者は不快な気持ちを抱いてしまうかもしれません。一方、人間であれば「気持ちいいですね」などと笑顔で対応し、温かい関係性を築くことができます。そうして信頼関係ができあがっていきます。
また、介護利用者の身体の状態はそれぞれ違うため、介護の仕事では、一人ひとりに合ったケアが求められます。たとえば、着替えの場面では、衣類のボタンを自分で付けられる人もいれば、いろいろなことが難しい人もいます。その人の状態に合わせてサポートをしていく必要がありますが、こうした臨機応変な対応も、AIには難しいのです。
ただし、介護の場面でAIがまったく役立たないというわけではありません。近年、介護の現場は人手不足の状態が続いており、AIはその手助けをしてくれる貴重な存在になり得るからです。AIが得意とする、単純で繰り返しの多い作業などは、コンピュータに任せることで介護スタッフの負担は軽減されるでしょう。
また、介護スタッフや介護利用者をサポートしてくれる介護ロボットの開発も急ピッチで進められています。これからの介護の現場は、AIや介護ロボットによる介護の一部業務のサポートを受けつつ、これまでどおり介護スタッフが活躍し続けていくでしょう。