正確な1メートルはどうやって確かめるの?

おしごと年鑑 社会の土台を支えるお仕事 2022年度
一般財団法人 日本品質保証機構

世界中、どこでも1メートルは同じ長さです。工場などで使われている「はかる道具」の正しさを確かめる方法について、日本品質保証機構(JQA)に聞いてみました。

  • はかる道具をはかる仕事
  • 計測・計量技術の仕事
  • 安心と信頼を提供する仕事

基準となる「はかる道具」を使って、正確な1メートルを確かめることができます。

1メートルの長さはこんなふうに決められた!

ノートの切れ端

1昔の単位はバラバラだった

1700年代の末ごろまで、長さの基準は国や地域ごとでバラバラでした。でも、やがてヨーロッパを中心に経済活動が活発になると、単位がバラバラだと不便なことが多くなりました。

日本の単位はだよ!

昔の日本人
一尺

1尺は、手を広げた時の親指の先から中指の先までの長さ。この手の形から「尺」という漢字が生まれたという説があるよ

エジプト人

エジプトはキュビットだ!

1キュビット

1キュビットは、王様の肘から中指の先までの長さ。王様が変わるたびに長さも変わったそうだよ

ヨーロッパの人

ヨーロッパはフィートで~す。

1フィート

1フィートはつま先からかかとまでの足の長さ。ヨーロッパで使われていたんだって

ヒナタ

いろいろなはかり方があったんだね。

2世界共通の単位名が決まった!

そこで世界共通の単位をつくろうと考えたフランスは、単位名を「メートル」と決め、1メートルの長さの基準は、北極から赤道までの距離の「1000万分の1」と定めて計測を始めました。

地球

実際の計測は、北極から赤道の長さの10分の1の距離にあたる、フランスのダンケルクからスペインのバルセロナまでの距離を実測し、それをもとに計算して1メートルの長さを割り出しました。

31メートルの基準となる
道具が誕生!

1889年、「メートル原器」という道具が、1メートルの基準になりました。

メートル原器

「メートル原器」 熱で伸び縮みしにくい白金イリジウム合金でつくられている

4現在は「光の速さ」が
1メートルの基準に!

より正確な1メートルを求めるため、新たに1メートルの長さは「光が真空中で2億9979万2458分の1秒間に進む距離」と決められました。

正確な長さは、レーザー光を発生する装置を使ってはかっているケモ!

ケモノン

「はかる道具」の正しさは、だれが確かめているの?

「はかる道具」(計測器)の正しさは、「基準となる計測器」と照らし合わせて、どれくらい差があるかを調べることで確かめられます。この作業を「校正」と言います。「校正」は、日本品質保証機構などの「はかる能力を認められた事業者」(校正事業者)が行っています。では、校正の流れを見てみましょう。

工場・試験所など

工場で使っている「ガラススケール」の目盛りの正しさを知りたい。調べてもらおう!

工場の人

ガラススケール

*ガラススケールとは、工場などで使われるガラスでできたものさしです。

校正を依頼

校正事業者

お任せください。私たちが確かめます!

校正事業者

ガラススケールを「基準となる計測器」と比べて「校正」します。

校正のしかたを見てみよう!

ガラススケールの目盛りと、基準となる計測器(ヘリウムネオンレーザー装置)が示す値を比べます。

校正の様子
  1. 測定台の上にガラススケールを置きます
  2. ガラススケールの目盛りを確認します
  3. ヘリウムネオンレーザー装置からレーザー光を出します
  4. ヘリウムネオンレーザー装置が示す値を確認します

ガラスや金属は温度によって大きさが変わるから、校正ルームの室温は一年中20℃±1℃なんだって!

ユイ

基準となる計測器との差は
「0.0002mm」でした

校正証明書

「校正証明書」で校正の結果を報告

工場・試験所など

このくらいの差であれば問題ない。安心して良い製品がつくれるぞ!

校正証明書、工場の人
「基準となる計測器」も、
正しさが確かめられています!

校正事業者が使う「基準となる計測器」も、国が維持・管理する「長さの基準(国家標準)」と比べることで、その正しさが確かめられています。

工場・試験所などの計測器

ガラススケール、工場の人

ガラススケール

不等号 より精度が高い計測器と比べる

校正事業者の「基準となる計測器」

ヘリウムネオンレーザー装置、校正事業者

ヘリウムネオンレーザー装置

不等号 より精度が高い計測器と比べる

国家標準となる計測器

光周波数コム装置

光周波数コム装置

世界各国の基準

日本の基準も世界各国の基準と比べることで、その正しさが確かめられています。

万国旗

「正しくはかる」ことで、安心・安全な社会を支えています

答えてくれた人

一般財団法人日本品質保証機構
計量計測センター 黛 沙月さん 長澤広尚さん

私たちの身の回りには、長さだけではなく、重さ、温度、電圧などをはかる、たくさんの計測器があります。もしも計測器で正しくはかれなかったら、生活が不便になったり、大切な製品がつくれなくなったりするなど、いろいろな問題が起こります。そのため、定期的に計測器の正しさを確認することがとても大切です。
日本品質保証機構では、身近なものから高精度なものまで、さまざまな計測器を校正しています。これからも、校正のプロフェッショナルとして、安心・安全な社会を支えていきたいと考えています。

みんなの身の回りには、どんなはかる道具があるかな?

答えてくれた人