土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)
土地や家などの不動産を売買したり分割するときは、国に報告をしなくてはいけないんだって。その手続きを行うのが土地家屋調査士だ。写真は、土地の測定をして隣家との境界線を確認しているところだよ。土地には名前が書いていないから、どこからどこまでが誰の所有かわからない。それを明確にして、大切な財産を守っているんだ。(写真提供/神奈川県土地家屋調査士会)
土地や建物の形や大きさを測り、国に登録申請をする
土地家屋調査士は、個人や不動産会社などから依頼を受けて、不動産の形や面積を正確に測定(測量)し、表や図面に表します。さらに、土地の住所や用途などを調べて書類を作り、法務局の不動産登記簿に記載してもらう手続き(登記)もしています。不動産を購入する場合、この登記を済ませて初めて、その人のものだと証明されます。
また、
・土地を分割して所有者や使用目的を変更したい
・家を売りたい
・田畑などを造成して宅地にしたい
・法務局の登記簿の記録と、実際の土地面積を一致させたい
・自然災害で被災して、自分の土地がわからない
こういうときなども、土地家屋調査士の出番です。官公庁、建築会社などから依頼があり、道路・河川・山林・鉄道用地のほか、リニアモーターカー関連の建設用地の測量などをすることもあります。
近年、増えているのは、「隣家との境界をはっきりさせたい」という測量依頼。土地所有者の話を聞くほか、書類・図面ではわからない土地の歴史を調べることで境界を明確にできる場合もたくさんあります。依頼主の利益のためでなく、第三者の「目」や「立場」で公平な調査・測量を心がけることが大切です。その真摯(しんし)な姿勢が、境界線トラブルを防ぐきっかけになることも少なくありません。
不動産の登記は、土地家屋調査士だけが行うことができる独占業務です。登記された不動産の情報は長く保存され、一般に公開されます。個人の財産というだけでなく、国の土地管理にも関係する、社会的な責任の重さを実感できる仕事です。
どうしたら土地家屋調査士になれるの?
土地家屋調査士の国家資格が必要。近年の資格試験の合格率は8%程度です。取得後は、土地家屋調査士事務所や不動産会社などで働きながら実務経験を積みます。不動産登記法、民法、測量学などを勉強すると役立ちます。