電気はためられないの?

おしごと年鑑 社会の土台を支えるお仕事 2023年度
電気事業連合会

今わたしたちが家や学校で使っている電気は、いつつくられたものなのでしょう? 電気が家までどうやって届くのか、電気事業連合会に教えてもらいました。

  • 電気をつくる仕事
  • エネルギーに関わる仕事
  • 生活に役立つ仕事

電気はためられないんだ。
「今」使っている電気は、「今」つくられたものだよ。

電気は水とちがって、大量にためておくことはできません。だから、電力会社は電気がいつ、どのくらい必要なのかを予測しながら、必要な量を発電しています。電気の流れは光と同じくらい速く、1秒間で地球を7周半もできるほど。発電所でつくられた電気は、ほぼ同時に、私たちのもとへ届きます。

電気事業連合会
ジュン

発電所からみんなの家まで、ほぼ一瞬でたどりつくよ。

ドングリーン

電気にも「品質」がある!

電気にも「品質」がある!

発電所でつくった電気が使う量に対して多すぎたり少なすぎたりすると、工場の機械が正しく動かなくなったり、悪くすれば広範囲にわたって電気が使えない、大停電が起こったりする恐れもあります。「停電することなく安定して届けられる」というのが、品質の高い電気の条件です。

一日の電気の使用量の推移

一日の電気の使用量の推移

日本のエネルギー自給率は何%?

日本の発電は現在、天然ガス、石炭などを燃やす火力発電に頼っており、これらの燃料は、海外からほぼ輸入しています。以前は原子力発電を増やしてエネルギー自給率を高めていましたが、2011年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故以来、運転中の原子力発電所が減り、原子力発電を国産エネルギーとしても、11%しかありません。低いエネルギー自給率は、世界情勢に影響を受けやすく、安定した国産エネルギーの確保が大きな課題です。

各国のエネルギー自給率
  • ・数値は2020年実績

出典 : IEA「WORLD ENERGY BALANCES (2022 Edition)」

福島第一原子力発電所の前は原子力発電が全発電量の3割近くを占めており、日本のエネルギー自給率も20%を確保していた。現在は11%と、非常に低くなっている

原子力発電は国産エネルギーなの?

電気事業連合会

※写真は模型の燃料ペレットです。

ウランを焼き固めた原子力発電の燃料ペレット。これ1粒で、1つの家庭の約6〜8カ月分の電気をまかなうことができます

原子力発電は、「核分裂」という、わずかな燃料でとても大きなエネルギーを生み出すことができる現象を利用して発電します。燃料になるのはウランやプルトニウム。天然のウランは外国から輸入しなければ手に入りませんが、一度輸入すると、長い期間使うことができます。また、一度使ったウランは特別な処理をすることで95~97%が再び使えるようになるので、石油や石炭のように、使ったらなくなってしまうわけではありません。このような性質から、原子力発電は国産エネルギーとして計算されます。

エネルギーミックスが大切

日本はエネルギー資源に乏しく海に囲まれた島国です。そこで安全性(Safety)を大前提として安定供給(Energy security)、電力コストの引き下げによる経済効率性(Economic efficiency)、温室効果ガス排出量の削減による環境適合性(Environment)の頭文字「S+3E」を同時に達成することに取り組んでいます。様々な発電方法の長所を生かし短所を補う組み合わせで、特定の電源や燃料に過度に依存しないバランスのとれた「エネルギーミックス」を目指しています。

エネルギーミックス

火力、水力、原子力、太陽光、風力、地熱などを組み合わせ、各発電方法の長所を生かし、短所を補い合います

資料提供 : 東北電力株式会社、中部電力株式会社、北陸電力株式会社、関西電力株式会社、四国電力株式会社、九州電力株式会社

何十年先の未来まで予測し、
みんなの生活を支える仕事です。

答えてくれた人

電気事業連合会 広報部副長
小形好弘さん

電気って、水をダムにためるように、大量にためておけるイメージがありませんか?
でも、電気は大量にためることができないんです。だから私たちは、工場がどのくらい機械を動かすか、人々がどんな生活をしてどういう場面で電気を使うかを予測して、必要な電気を正確につくるための計画を立てています。
こうした計画は、1年2年の短い期間で立てるのではなく、発電所など大きな施設の建設も含めると、10年単位の長い期間で、物事を考えていかなければなりません。
電気は皆さんの生活になくてはならないもの。将来にわたって、人々の生活と日本の産業を支えるため、私たちは日々働いています。

どんなエネルギーを利用するのがいいのか、みんなも自分の問題として考えてみてね。

電気事業連合会
ピカールくん

ピカールくん

エネルギー・環境教育支援サイト(エネラーニング)で、エネルギーのことを勉強してみよう!より詳しく学べる教材や資料のほか、「ひらめき!ピカールくん」などの楽しく学べる動画もそろっています♪