「がん」ってどんな病気なの?

おしごと年鑑 身近な生活につながるお仕事 2023年度
公益財団法人日本対がん協会

日本人の2人に1人がかかり、年間死亡者の死因の約3割を占める「がん」という病気。「がん征圧」を目指している、日本対がん協会に教えてもらったよ。

  • がん予防の仕事
  • 正しい知識を広める仕事
  • 健康に関わる仕事

がんとは、細胞の「設計図」にミスが起き、異常な細胞(がん細胞)が増え続けて命をおびやかす病気のことだよ。

人の体は小さな細胞がたくさん集まってできています。体が大きくなったりして細胞が生まれ変わるとき、細胞の中にある「設計図」通りに同じ細胞が作られます。でも、設計図がたばこなどで傷つけられると、異常な細胞ができることがあります。その一つが「がん細胞」です。がん細胞ができても、免疫(体が持つ、病原菌や毒素などに打ち勝つ力)の働きなどで退治されますが、免疫の目を逃れるものができて、どんどん増えると、体の正常な働きを害します。これが「がん」という病気で、やがて命をおびやかすようになるのです。

公益財団法人日本対がん協会
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がん細胞が増えている様子。

免疫の目から逃れて増え続けるのが、がん細胞のこわいところなんじゃ!

ドングリーン

がんは日本人の死亡原因の1位
でも、早く見つけられれば、多くは治ります

2021年に亡くなった日本人の死因をみると、1位はがん(26.5%)、2位は心疾患(14.9%)、3位は老衰(10.6%)です(※)。世界的に見ても、日本はがんを患ったり、がんで亡くなったりする人の割合が多いです。でも早くがんを見つけて治療すれば、多くは治ることが期待できます。早く見つけるためにも、大人になったら必ず、がん検診を受けましょう。

※厚生労働省「人口動態統計」2021

がんの5年相対生存率(2015年診断患者)

出典 地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立がんセンター調べ ※神奈川県内のデータ

検診でがんが発見された場合

検診でがんが発見された場合

検診以外でがんが発見された場合

検診以外でがんが発見された場合

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「がんの5年相対生存率」とは、がんと診断された人の5年後に生きている割合が、その年代の日本人の5年後に生きている割合より、どれくらい低いかを示したものです。検診で早くがんを見つけ、治療することの大切さがわかります。

日本人が一生のうちにがんになる確率は?

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一生では50%

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一生では65%

一生のうち、日本人の2人に1人はがんになると考えられますが、男性のほうが女性よりも、がんになる割合が高くなっています。ただ、女性は子宮頸がんや乳がんのように、やや若くしてがんになるケースが多い傾向があります。

今日からできるがん予防

調査や研究により、毎日の生活に気をつけることや、たばこを吸わないことが、がん予防につながることがわかっています。
そのいくつかを紹介しましょう。

野菜、くだものをしっかりとる

栄養バランスのいい食事は、健康な体をつくるための基本です。とくに野菜とくだものはしっかりとりましょう。給食も好き嫌いせず、食べましょう。

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運動不足に気をつける

一日の体の活動量が多い人ほど、がんの発症が低いことがわかっています(※)。子どものころから運動の習慣を身につけ、おとなになっても汗をかきましょう!

※国立がん研究センターの多目的コホート研究「身体活動量とがん罹患との関連について」から

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週に1回は30分走るなど、汗をかく運動をしよう

太りすぎない、やせすぎない

さまざまな体形の人たちを10年間、追跡調査(※)したところ、がんを発症する確率が高かったのが、太りすぎとやせすぎの人でした。生活習慣や食事バランス、運動量などが関係していると考えられています。

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※国立がん研究センターの多目的コホート研究
「身体活動量とがん罹患との関連について」から

あとはやっぱり早期発見! おとなになったらがん検診だ!!

ジュン

がんの治療は日々進化!

がんの治療は主に「手術療法」「薬物療法」「放射線療法」の3種類があり、「三大療法」と呼ばれています。免疫本来の力を回復させて治療する「免疫療法」も治療の一つに加わりました(効果が証明されているのは一部です)。治療の選択肢は多様になり、がん治療は日々進化しています。
いずれにしても患者さんが納得できる治療を選べるよう、医師や看護師、薬剤師など、がんに詳しい専門家が集まり検討や提案を行います。

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手術療法

がんの病巣などを直接取りのぞく。完治の可能性が高い。

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化学療法

主に「抗がん剤」という薬を血液を通して全身にめぐらせ、がん細胞を攻撃する。

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放射線療法

放射線をがんの病巣にあてて、がん細胞をなくす。

がんで苦しむ人、悲しむ人をなくすために取り組んでいます

答えてくれた人

公益財団法人日本対がん協会 石田一郎さん

みなさん、がんって、どんなイメージを持っていますか。「こわい」とか「治らない」とか思う人がいるかもしれないけど、早く見つけられれば治る病気なんだ。日本対がん協会は「がん征圧」を目的に、1958年に生まれた歴史ある団体です。子どもたちにがん教育をしたり、がんの正しい知識を広めるイベントをしたり、がん患者や家族を支える活動をしたりしています。全国の支部では「がん検診」をしています。このページで学んだことをおとうさん、おかあさんに伝えて、「がん検診、受けてね」と呼びかけてくださいね。

がんのことをもっと知る。知っている人をもっと増やす。それが「がん征圧」のためには必要なことなんだ!

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