キャリアコンサルタント のしごと

2022.10.06 紹介します○○のしごと

キャリアコンサルタントの岡本陽子さん
「自分の気持ちに正直に、何にでもチャレンジしてみてほしい」と話す岡本陽子さん=本人提供
キャリアコンサルタントの岡本陽子さん

岡本陽子さん

株式会社fanfare(ファンファーレ)代表取締役

働く人の悩み 解決法を探る

「会社の人たちとうまくつきあえない」「仕事をしていても、成長を感じられない」――。仕事でそんな悩みを抱えている人たちの相談に乗り、いっしょに解決方法を探っていくのがキャリアコンサルタントです。岡本さんはこれまでに3千人近くの相談に乗ってきました。

相談者から寄せられる悩みはそれぞれなので、一人ひとりの話をていねいに聞くことが求められます。「話すことで気持ちが整理でき、この先どんなふうに働きたいかをあらためて考えられるようになります」と岡本さん。

ただ、相談者は本当の悩みを言えずにいる場合もあります。そんな時は「それってどういうことですか」と問いかけをしながら、本当はどんなことで悩んでいるのかを聞いていきます。

会社の従業員向けの研修やセミナーで、これから先の働き方などについて助言をすることもあります。「どんなケースでも、こちらの考えを一方的に押しつけたり、話をさえぎったりはせず、いっしょに考えていくことが大切です」

相談者が解決方法などを確認できるように、相談後は振り返りシートを作って渡します。日ごろの悩みなどを書きこめるキャリア手帳の作製も手がけています。

キャリアコンサルタントの岡本陽子さんのしごと

あゆみ

子どものころから自分から行動を起こすタイプではなく、まわりに合わせることが多かったです。特にやりたい仕事も見つからず、大学卒業後は求人広告の営業の仕事に就きました。広告の記事を書くために、さまざまな世代や業界で働く人に仕事の喜びや苦労について取材するうちに、「多くの人がよりよく働き続けられる手伝いをしたい」と考えるようになりました。コンサルティング会社に転職し、キャリアコンサルタントとして働くことを決意。30代後半で初めて本当にやりたい仕事に出合いました。

1977年
鹿児島県生まれ
1992年
愛知県立春日井東高校に進学
1995年
神戸学院大学経済学部経済学科に進学
1999年
広告代理店に入社
2015年
コンサルティング会社へ転職
2016年
国家資格のキャリアコンサルタント資格を取得。キャリアコンサルタントとして活動開始
2021年
株式会社fanfareを設立
やりがいや苦労

相談者の表情が明るくなる

相談者のなかには、最初は不安な表情を浮かべている人も多いそうです。しかし、「話が進むうちに表情が明るくなったり、笑顔が見られたりすると、やりがいを感じます」。相談後に今の状況や気持ちの変化を報告してくれる人も多く、頼りにされていると感じる瞬間だといいます。

ただ、相談を聞いた時にはすでに悩みが深く、複雑になってしまっていることもあります。「もっと早く相談してもらえたら」と考えることも多いそうです。「相談することを身近に感じてもらえるように、私たちの存在をPRしていくことが欠かせません」

クローズアップ
キャリアコンサルタントの岡本陽子さんが開発したキャリア手帳などの画像
岡本さんが開発したキャリア手帳(右から二つ目)。他にはペン、名刺入れ、スマートフォン。手帳に思いついたことを書くことで気持ちの整理ができるといいます=本人提供

2022.5.2付 朝日小学生新聞
構成・浴野朝香
イラスト・たなかさゆり

毎週月曜連載中の「紹介します 〇〇のしごと」から記事を転載しています。
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