岩山を歩いているあのひと、何してる?

2021.11.30 あのひと何してる?

アクティブ・レンジャー(自然保護官補佐 しぜんほごかんほさ)

日本には34カ所の国立公園があり、環境省が管理しているんだ。国立公園内の自然を守り後世に伝えるために、自然保護官や、その補佐をするアクティブ・レンジャーが働いているよ。写真は、北アルプス(飛騨山脈)の涸沢岳(からさわだけ)~北穂高岳周辺を巡視(パトロール)している様子。実際に山肌を踏みしめながら異変をキャッチする、大自然のガードマンだ。(写真提供/環境省 中部山岳国立公園管理事務所)

国立公園の管理をしながら、自然保護の大切さを伝える


アクティブ・レンジャーは、国立公園の管理や野生生物の保護、里山の保全、自然との触れ合いを通した地域活動などをする自然保護官(レンジャー)の補佐として活躍しています。全国各地の国立公園ごとに内容は若干異なりますが、一般的には、次のような仕事をしています。


・国立公園内のパトロール、調査、保全活動、利用者への指導
・地域や事業者と連携しながら、直轄施設(園路、トイレ、ビジターセンターなど)の管理・運営の補助
・希少な動植物の保護、傷病鳥獣の保護
・イベントの企画、実施
・登山やトレッキング(山歩き)に同行し、自然の魅力や楽しさをアナウンスする
など

国立公園に来たことがよい体験になるよう、楽しく解説。

登山者のための看板設置や修繕

会議資料や手続き書類作成など仕事の半分はデスクワーク(季節によって異なる)

中部山岳国立公園の場合、北アルプスを中心とする多くの登山地があります。厳しい自然環境の中で、登山道、山小屋、トイレ、休憩施設などが安全に維持管理されているかを確認。山小屋の経営者やスタッフから情報収集して、国立公園内の登山状況も把握します。


大自然を相手にしているので、突発的な仕事も多く発生します。豪雨によって、登山道のステップ(階段)や橋などが流れ落ちると、地元の人と連携して修復することも。泥だらけになりながら、関係者と団結して登山者の安全を守り、自然を楽しめるよう力を注ぐことにやりがいを感じます。


近年、生物の絶滅や森林の消失といった自然破壊が問題視され、原因の多くは人間だといわれています。保護するには、身近な自然に目を向けることが第一歩になります。道にゴミがあれば拾う、魚がすめるように川を汚さないといった小さなアクションの大切さを国立公園を訪れる人たちに心を込めて伝えています。

どうしたらアクティブ・レンジャーになれるの?


環境省の地方環境事務所で、採用試験を受けます。任期3年の非常勤公務員なので、公務員試験は必要ありません。

協力/環境省 中部山岳国立公園管理事務所

取材・文/内藤綾子