スパイが得意とする「諜報」という名のスキルとは?

2019.07.01 おしごとBOOK

しごとについての質問

「スパイや探偵に憧れます。友達には笑われたけど、映画と違う実際の仕事はどんなものなんでしょうか?」(11歳・男子)

<答えてくれる人>土井英司(どいえいじ)さん

アマゾンの日本サイト立ち上げにも参画した本の目利き。書評家。出版コンサルティング会社・エリエス・ブック・コンサルティング社長。世界で1100万部を突破した『人生がときめく片づけの魔法』のプロデューサーでもある。

人間の心と情報を扱うスキルが欠かせない職業


『元ドイツ情報局員が明かす 心に入り込む技術』

著者:レオ・マルティン
訳:シドラ房子
出版社:CCCメディアハウス

価格:1600円(税別)

起業の世界では、周囲に笑われたら、その事業には見込みがあるとされています。これからの時代は、キャリアについても同じではないでしょうか。
スパイや探偵は、「人間心理を扱う」「情報を扱う」という点で、他に応用可能なスキルが身につく職業だと思います。「現代広告の父」と呼ばれた天才コピーライター、オグルヴィは、一時期、イギリスの諜報(ちょうほう)部員をやっていました。彼の上司が、映画「007」のモデルです。おそらく、人の心を見抜くスキル、動かすスキルを学んだことで、彼は当代一のコピーライターになったのだと思います。
スパイや探偵は、昔から映画で取り上げられる魅力的な職業ですが、テクノロジーが発達するにしたがって、形を変えていくでしょう。でも、人の心を扱う技術、情報を扱う技術、自身の心を修める必要性はこれからも変わりません。
『元ドイツ情報局員が明かす 心に入り込む技術』は、ドイツ連邦情報局(BND)に勤務していた著者が、情報提供者を囲うために実践していた人心掌握術を公開した一冊。情報局員時代のエピソードが紹介されており、スパイの世界を垣間見るには格好の読み物です。「情報員は外見や立ち居振る舞いを状況にふさわしく適応させること」「なるべく時間をあけずに頻繁に会うようにすれば、関係の発展を早める」「相手がうそを言っているのではないかと薄々感じても、相手の面目を潰さないよう気をつける」など、貴重な教えが満載です。

忍者にも心や情報に関する秘伝があった


『忍者「負けない心」の秘密』

著者:小森照久
出版社:青春出版社

価格:760円(税別)

『忍者「負けない心」の秘密』は、三重大学大学院医学系研究科ストレス健康科学分野教授の小森照久さんが書いた本。著者によると、三重大学は大真面目に忍者研究をしているらしく、本書もその成果を踏まえて書かれています。
また、江戸時代に作られた秘伝書『万川集海(まんせんしゅうかい)』と『正忍記(しょうにんき)』の教えも紹介されており、忍者の思想や行動規範を知ることができます。ウソと本当を入れ替える「虚実転換」の術、恐怖心や怒りにつけ込んで心の隙間を突く「五車の術」など、実際の忍術も紹介されているので、ぜひ読んでみてください。