人工衛星は、どんなところで活躍しているの?

おしごと年鑑 社会の土台を支えるお仕事 2020年度
スカパーJSAT株式会社

24時間、365日、人工衛星は私たちの暮らしを支えてくれています。実際にどんなところで衛星が活躍しているのか、日本の衛星通信事業者であるスカパーJSATに教えてもらいました。

地球の赤道上空約3万6000㎞から、あちこちに情報を届けているよ。

通信衛星は身近なところで活躍しているよ!

「人工衛星」には、いろいろな種類があります。通信衛星(CS=コミュニケーションズ・サテライト)は、遠く離れた場所で情報のやり取りをするために活用されるほか、スカパーなどCS放送の配信も行います。他にも、以下の衛星があります。

通信衛星は身近なところで活躍しているよ!

放送衛星(BS)

NHKなどでおなじみ、放送(ブロードキャスティング)専用です。

気象衛星

雲や空の様子を観測し、その結果が天気予報に役立てられます。

観測衛星

陸・海・大気圏などを観測し、地球環境問題を考える情報を集めます。

測位衛星

カーナビに利用されるGPSなど、位置を確認するための衛星です。

通信衛星には、大きく四つの特長があります。

広域・同報性

衛星から地球を見て「見える範囲」が送受信の対象エリアです。ひとつの情報を広い地域に同時に送れます。衛星同士のリレーで地球の裏側の情報も!

柔軟性

地上からの電波の届きにくい山間部、船や飛行機といった乗り物の通信にも通信衛星が利用されます。どんな場所でも柔軟にやり取りすることができるのです。

大容量

テレビの画質は時代とともにより鮮明に! 通信衛星は、フルハイビジョンの4倍の解像度を誇る大容量の「4K」映像も扱えます。ドラマやスポーツをきれいな映像で楽しめます。

耐災害性

地震などの大規模自然災害によって、地上の通信回線は切断されてしまうことがあります。通信衛星は宇宙空間にあるため、災害の影響を受けません。非常事態に強い通信手段といえます。

通信衛星の役目

車載局

車載局

アンテナなど送受信用の機材を積んで、どこでも衛星通信を行える車両。ニュースの現場から生の情報を発信できる

パラボラアンテナ

パラボラアンテナ

電波を送受信するための丸いお皿のような形をしたアンテナ。衛星管制センターにある大きなものから、家庭サイズのBS・CS用アンテナもパラボラ

災害時に

災害時に

地震や台風、集中豪雨や火山噴火など、地上で起こる災害の影響を衛星は受けない。このため、地上の通信回線が切断されるような災害時に、特に大きな力を発揮する

通信手段のない場所で

通信手段のない場所で

山間部や離島など、ケーブルを敷設するのが難しい場所でもインターネットが利用できる。道路やトンネル工事の際の連絡手段にも使われる

船や飛行機で

船や飛行機で

航行中、飛行中でもインターネットを利用することができるようになった

くもろぐ

海上気象観測の技術を応用してAIが雲の名前を教えてくれるスマホアプリ「くもろぐ」も開発。みんなも使ってみて! https://kumolog.jp/

衛星が止まって見える理由

日本の気象衛星や通信・放送衛星は、赤道上空約3万6000kmの位置で運用されます。地球から見るとずっと同じ位置にあり、まるで動いていないように見えますが、実は衛星は地球の自転と同じ約24時間で地球を一周しているのです。衛星にはたらく「引力」と「遠心力」がちょうどつり合う距離にあるためです。こうした衛星を「静止衛星」と呼び、その通り道を静止軌道といいます。

運用が終了した衛星はどうなるの?

1957年に旧ソ連が世界初の衛星「スプートニク1号」を打ち上げて以来、多くの人工衛星が地上を飛び立っていきました。いま地球の上空を周回している衛星の数は約5000機以上*に上ります。
近年、運用が終了した衛星や、故障によって制御不能になった衛星などが問題になり始めました。衛星同士がぶつかった破片、宇宙飛行士が落とした工具なども含めて、こうした宇宙空間にずっと漂い続けている人工物体を「スペースデブリ」と呼びます。国連宇宙空間平和利用委員会が中心になり、各国の宇宙機関がスペースデブリ低減対策に取り組み、スカパーJSATも協力しています。
*UNOOSA(国際連合宇宙局)発表データから

スペースデブリを直訳すると「宇宙ゴミ」

スペースデブリを直訳すると「宇宙ゴミ」。ゴミ問題は地上だけでない

衛星をコントロールする仕事

通信衛星は地上の衛星管制センターによってコントロールされています。衛星から送られる信号を調べると、衛星内部の温度・電圧・電流・スイッチの状態などがわかります。いわば、衛星の健康診断を絶えず行っているのです。
何らかの要因で衛星が軌道位置からずれてしまったときは、衛星に取り付けられている小型ジェットを噴射させて正しい位置に戻します。

主局となる横浜衛星管制センター

主局となる横浜衛星管制センター。茨城、山口に副局がある

通信衛星を使ってみんなの暮らしを支えています

答えてくれた人

スカパーJSAT株式会社
宇宙技術本部 衛星運用部 武川絢音さん

スカパーJSATは、CS放送「スカパー」サービスをはじめ、通信衛星を利用した各種サービスを提供している会社です。
私は主に衛星をコントロールする手順やプログラム作りを行っています。少しでもミスをすると衛星がひっくり返ってしまう危険もあり、事前にシミュレーションを繰り返すことが大切です。また、衛星に不具合が起きたときはメーカーとやり取りし、寿命を迎えるまでしっかり運用していけるように考えます。責任は重大ですが、その分やりがいも大。皆さんも、「これ、私が担当している衛星のサービスを使っているんだよ!」なんてセリフを言ってみたいと思いませんか?

答えてくれた人