
お茶わんやお皿でおなじみの焼き物。そんな焼き物に、高さ10メートル以上にもなる大きなものがあるんだって! いったい何に使うのでしょう? 日本ガイシに聞いてみました。
ホント。3階建ての住宅より大きな磁器製品なんて、びっくりだね。
大きな大きな、まるで煙突みたいな形のこれは、いったい何でしょう? これは「がいし(がい管)」というもの。電線と、機器や建物の間を遮って、電気がもれないようにするものです。電気を安全に、確実に送るために欠かせないのが、がいしです。
がいしはひだが重なったような形をしているよ。これは、電気をより遮りやすくするための工夫。ほこりや塩などの汚れがつくと、がいし表面に電気が通りやすくなってしまうんだ。だから、ひだをつくることで電気の通り道をわざと長くして、電気がもれないようにしているよ。

世界最大のセラミックス「がい管」の全長は12メートル。
日本ガイシ知多事業所(愛知県)に展示されているよ。

▲ 変電所に立つ、大きながいし(がい管)
高圧の電気が外にもれないよう、電線を覆っているんだね。

日本のがいしは磁器でできている
日本のがいしの多くは「磁器」でできています。磁器は高温で焼く丈夫な焼き物で、お茶わんやお皿にも使われます。世界にはプラスチックやガラスでできたがいしもありますが、丈夫で電気を通さず、さびたり腐ったりしにくい磁器は、何十年も使い続けることができて、がいしに最適です。

▲ 新幹線にもがいしは使われているよ
お茶わんづくりと似ているがいしのつくり方
がいしはどんなふうにつくられているのでしょうか? そのつくり方は、お茶わんなどをつくる過程と似ています。
原料は、長石、粘土、アルミナなど


原料を細かく砕きながら混ぜ合わせ、粘土状の土にするよ


水分を絞って円柱状にし、がいしの形をつくるよ


うわぐすりをかけて、窯で焼く


水圧や電圧をかけるなど、さまざまな検査に合格したら、金具などを取り付けて、出来上がり!

がいしにもいろんな形がある
発電所でつくられた電気が家に届くまで、がいしはさまざまな場所で活躍しています。使われ方によって、大きさも形も違います。


▲ 送電線を支える懸垂がいしは、大きいものでは84トンもの重さに耐えることができるよ
見えないけれど身近で大事な「クロコくん」のおしごと
日本ガイシ株式会社 山本直子さん
日本ガイシは100年にわたり、暮らしを支えるさまざまなセラミックスを世に送り出してきました。ここで紹介した「がいし」にはじまり、車の排ガスをきれいにするセラミックス、風や太陽による気まぐれなエネルギーの安定に役立つ蓄電池、携帯電話の鮮明な通話やインターネットのスムーズな動画視聴に欠かせない部品など、見えないけれど意外に身近なところで大事なおしごとをしている製品ばかりです。そして地球環境とわたしたちの暮らしをより良くしていくものが作れないか、いつも考えています。
日本ガイシのおしごとはまるで黒衣(裏方として見えないという約束で舞台の役者を支える役割)のようなため、「クロコくん」を企業キャラクターにしています。大きなひとみで未来を見つめ、社員とともに大事なおしごとに、はげんでいきます。

これがクロコくんです。よろしくね!