LEDの白い光は、どうやってつくるの?

おしごと年鑑 未来を生み出す科学技術のお仕事
日亜化学工業株式会社

光にも色があるって知ってますよね? 赤・緑・青が光の三原色。でも、私たちの家庭の照明で普段よく使う光は白。白い光はどうやってつくっているのでしょうか? 日亜化学工業に教えてもらいました。

家庭で使う照明用のLEDは、青い光を黄色の蛍光体に当てることで、白い光を生み出しているよ。

LEDのチップ

家庭用のLED照明に使われるLEDのチップ。青い光を出すLEDに、黄色い蛍光体のフィルターがかぶせられている

LEDは、p型とn型という、二つの性質の違う半導体をくっつけてつくられます。これに電圧をかけると、n型からはマイナスの粒(電子)が、p型からはプラスの粒(実は電子が抜けた穴のこと、正孔という)が境界目指して移動します。電子と正孔がぶつかりあった時に電気エネルギーが光エネルギーに変換されることで、LEDは光ります。

LEDが発光する仕組み

電子がフィラメントを流れる時の摩擦熱で光る電球と違い、LEDは熱をほとんど発生させないケモ。

ケモノン

LEDを3色組み合わせれば、 白い光ができる?

LEDは、電子と正孔がぶつかり合う時のエネルギーの違いによって、光の色が変わり、エネルギーが低いと赤く、高いと青く光ります。光は赤、緑、青の3色を基礎として、それぞれが混じり合う割合によって、さまざまな色を生み出します。3色が均等に混じり合うと白い色を出すことはできますが、3色のLEDを同時に均等に光らせることは難しく、「きれいな白色」を持続的に発生させることは難しいと考えられてきました。

LED色の違い

光の三原色

光の三原色

光の三原色を均等に組み合わせれば、理論上は白い光を作ることができる。だが、3色のLEDを同時に均等に、継続的に光らせるのは難しい

LEDで白い光を出す仕組み

光の三原色を見てみると、3色の光が混じり合うだけでなく、向かい合う2色が混じり合うところでも、白い光が生まれることがわかります。日亜化学工業は、青いLEDの光に黄色の蛍光体(※)を塗ったフィルターを通すことで、安定した「きれいな白色」の光を生み出すことに成功しました。

青色LED

青色LEDの青い光に、

矢印
黄色の蛍光体を塗ったフィルター

黄色の蛍光体を塗ったフィルターをかぶせると……
(写真上側)

矢印
白い光になる

青い光と黄色い光が混じり合い、白い光になる!
(写真上側)

光の三原色

(※)蛍光体とは、光などのエネルギーを受けて光を発する物質のこと。蛍光灯などにも使われている。黄色の蛍光体は、光のエネルギーを受けて、黄色い光を発する。この性質を利用し、青いLEDの光で黄色の蛍光体にエネルギーを与え、発生した黄色い光と青い光を混ぜ合わせることで、白い光を作り出す

「白いLED」は、
こんなところでも使われているよ

液晶画面

液晶画面は、3色のフィルターに、背後から白い光を当てることで、色を生み出している

自動車のヘッドライト

より明るさが求められる自動車のヘッドライトにも、白い光が多く使われている

私たち人間がもっとも見慣れている光は太陽の光。太陽の光は、さまざまな色の光が均質に混じり合うことで生まれた白い光です。だから、家や施設の照明を始め、スマートフォンや液晶テレビのバックライト、自動車のヘッドライトなど、白い光を出すLEDは、さまざまな場面で使われているのです。

青色LEDと蛍光体の組み合わせで、
さまざまな色が生み出せる

青色LEDにさまざまな色の蛍光体を組み合わせた様子

青色LEDにさまざまな色の蛍光体を組み合わせた様子。あらゆる色が再現できる

東京海洋大学 稲田博史氏 提供

サンマ漁

古くから、魚が光に集まる習性を利用して続けられてきたサンマ漁。照明をLEDにすることで、より効率よく漁ができるようになった

LEDと蛍光体の色の組み合わせを変えれば、あらゆる色の光を簡単に生み出すことができます。この「色のついた光」には、さまざまな用途があります。おもしろい用途として、漁業があります。サンマが集まりやすい波長(色)の光を使うことで、効率的に漁をすることができるようになりました。他にも、レストランではより料理がおいしそうに見える光を使うなど、「色のついた光」の用途は、さまざまな場面に広がっています。

徳島県から、世界中に光を届ける会社です

答えてくれた人

日亜化学工業株式会社 総務部総務課
上野成子さん

日亜化学工業は、今から60年くらい前に、徳島県で生まれた会社です。最初は薬に使うためのカルシウム塩類をつくる会社でした。その後、カルシウム原料を利用した蛍光灯に使う蛍光体を製造するようになり、さらに1990年代にはLEDの開発にも着手。世界で初めて、高輝度の青色LEDの開発に成功しました。そしてこの青色LEDと、それまで長く作り続けてきた蛍光体を組み合わせることで、白色のLEDを作り出すことにも成功したのです。ちょうど、スマートフォンなどの液晶ディスプレイに使われるLEDの需要が高まっていた時代背景とも重なり、白色のLEDは瞬く間に広がっていきました。今も本拠地は徳島県にありますが、私たちの技術と製品は、世界のトップランナーとしてあらゆる場面で活躍しています。

答えてくれた人

地域に根ざしながら、
最新テクノロジーで
世界に挑戦する会社
ですよ。