自分らしい動画でひとびとを楽しませる、YouTuber(ユーチューバー)の仕事

2021.09.24 おしごと発見!

おしごと発見!

YouTuber(ユーチューバー)

ユーチューバーは、動画サイト「YouTube(ユーチューブ)」で動画を投稿(とうこう)して、チャンネル登録者数や動画の視聴数(しちょうすう)を増やし、動画に流れる広告で主な収入を得(え)る仕事です。スポーツ、音楽、お笑い、ゲーム、動物、グルメ、科学など、さまざまなジャンルがあり、日々たくさんの動画が投稿されています。ほかのひととはちがう個性(こせい)やアイデアをもち、表現(ひょうげん)することが求められる仕事です。[取材:YouTuber・サイエンスアーティスト 市岡元気先生]

数時間、ときには数ヶ月をかけて10分の動画をつくる


近年、なりたい職業として人気を集めるユーチューバー。子どもや大人、一般人(いっぱんじん)から芸能人・スポーツ選手まで、たくさんのひとたちが、さまざまな動画を投稿して、ひとびとを楽しませています。

今回取材したサイエンスアーティストでありユーチューバーである市岡元気先生は、「GENKI LABO(ゲンキ ラボ)」というチャンネルで、科学をテーマにした、楽しく学べる実験(じっけん)の動画を投稿しています。チャンネル登録者は38万人以上、視聴数が500万回を超(こ)える動画もあります。


元気先生に、1本の動画をどのようにつくっているのかを聞くと、「まず、どんな実験をするかネタを考えて、台本をつくります」と話します。台本は、いわば動画のストーリーです。「『この実験の結果はどうなるのかな!?』と最後までワクワクしながら楽しんでもらえるように、はじめに実験の解説(かいせつ)をして、ラストに結果を発表するという流れを基本(きほん)にしています」とのこと。溜(た)まっている実験のネタの数は、なんと2000個以上! 思いついたらすぐにスマートフォンにメモをしているそうです。


台本ができたら、実験につかう道具や薬品(やくひん)をそろえて撮影(さつえい)します。「撮影は、短いものだと1〜2時間のものもあれば、数日から数カ月かかるものもあります」。ときには、野外で撮影をしたり、長い時間をかけて実験を観察(かんさつ)したりすることも。

実験室の撮影現場では、カメラの前に立って、よりわかりやすく、より楽しく伝えられるように撮影を重ねる元気先生の姿がありました。もちろん、さまざまな道具や薬品を取りあつかうため、安全に気を配ることも欠かしません。


撮影が終わると、撮影した動画を短くまとめたり、音楽や字幕(じまく)を入れたりする、編集(へんしゅう)の作業に移ります。元気先生は、パソコンをつかって数日かけて自分で編集していましたが、いまは撮影に集中するために、編集のプロに依頼(いらい)して最後に自分でチェックして仕上げるという方法をとっています。

ネタを考えて台本をつくり、撮影して編集する。わずか10分ほどの動画をつくるために、たくさんの時間と手間がかかっていることがわかります。

たくさんのひとに動画を見てもらうための工夫と努力

2000個もあるネタのなかから、どのように動画にするものを選(えら)んでいるのでしょうか。「最近は特に、科学に興味(きょうみ)がない人にも楽しんでもらえるように心がけています。ニュースやインターネットで話題(わだい)になっていることや季節に合わせたネタで実験を考えて、動画をつくるんです」。

たとえば、雨の多い梅雨(つゆ)のジメジメした季節に投稿した除湿(じょしつ)をテーマにした動画は、1日で10万回以上の視聴数を記録。人気アニメの武器(ぶき)を実際につくってみる動画は、約8カ月間で480万回もの視聴数を獲得(かくとく)しています。「流行(はや)りのネタはスピードが大切なので、すぐに撮影と編集をして、当日に公開することもあります」とのこと。多くのひとに見てもらうための工夫と大変さが伝わってきます。

「実験にはお金も必要ですし、そのためにはたくさんの方に動画を見ていただかないといけません」と語る元気先生。さらに工夫していることを聞くと、「ユーチューブでは、動画のタイトルと画像をパッと見たときに『おもしろそう!』と思ってもらうことが大事です。そのために、タイトルは短く17文字以内にして、インパクトのある画像を載(の)せています」とのこと。さらに、「視聴者の『こういう実験を見たい』というコメントをヒントに次の動画をつくることもあります」と教えてくれました。

まだ、だれもやっていないことを動画で表現する

ユーチューバーの仕事は、動画の視聴数や評価(ひょうか)ではっきりと成果がわかる、きびしい世界です。そんななかで、元気先生はどんなことを大切にしているのでしょうか。「ぼくは、世界でまだ動画になっていない、だれもやっていない実験をやりたいと思っています。ほかのひとがやっているなら、ぼくがやる意味はないですよね」。

世界中で毎日たくさんの動画が投稿されるなかで、どうすればより多くのひとに自分の動画を見てもらえるか。自分らしさを見つけて、それをおもしろく表現する努力がユーチューバーには求められるといえるでしょう。


子どもの頃から虫や動物が好きで、理科や科学に興味をもち、生物の勉強ができる大学へ進んだ元気先生。大学では、学校で理科の先生をつとめる免許(めんきょ)も取得しました。ユーチューバーの仕事のやりがいを聞くと、「ありがたいことに、『元気先生の動画を見て、理科が好きになりました』といったメッセージをよくいただきます。ぼくの動画をきっかけに理科や科学に興味をもつ人が増えることは、ぼくがめざしていることですし、本当にうれしいですね」と笑顔(えがお)で答えてくれました。

ユーチューバーになるには?

必要な資格はありません。動画を撮(と)るためのカメラ、動画を編集・投稿するためのパソコンが必要になるでしょう。コツコツと動画を投稿しつづける努力も大切です。収入については、動画の広告のほかに、一般の会社から仕事の依頼を受けて、収入を得ることもあります。

元気先生の場合は、科学をテーマにしているだけあって、最近はマスクや消毒液(しょうどくえき)などの医療製品(いりょうせいひん)の紹介依頼が多いそうです。

最後に、元気先生からメッセージをもらいました。「ぼくが子どもの頃にはユーチューバーという仕事はありませんでした。理科が好きで、教えることが好きで、表現することが好きで、それをつづけてきて、この仕事にたどりつきました。みなさんが大人になる頃には、いまはまだ世界にないような仕事につくのかもしれません。ユーチューバーに限(かぎ)らず、好きなことを活(い)かして、あたらしい職業をきりひらいていってほしいと思います。いまは学ぼうと思えば、たくさんの情報がある時代です。やりたいことがあれば調べて、学んで、どんどんチャレンジしてください。そして、あたらしい仕事や科学の可能性を生み出してくれることを期待しています」。


※2021年7月現在

※取材・撮影は感染対策をほどこした上で、マスクを外した状態で行っています

おしごとQ&A

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